Part2 第5話

スピード(その1)



 ミズノのスピード・ブランドの競泳水着については何の説明も不要であろう。だが、スイムショーツについてはほとんど触れられることはない。しかし、私にとっては、何をおいても紹介したいブランドである。
 かつて(80年代)のカラースイムショーツから始めて現在のものまで、紹介する製品の数は20枚近くなるので2回に分ける事にした。なお、ミズノは男性用・女性用を問わず、製品名は「スイム・サポーター」となっているが、ここではスイムショーツでとおす。


 70年代には前回のセシール等、いくつか好きなスイムショーツがあったのだが、80年代に入ると、これといった新しい発見もなくなっていった。そんな80年代半ばに、このカラースイムショーツのシリーズが発売されたのである。

 初めてこのブルーのスイムショーツ(83SS-2021)を見た時、そして、穿いてみた時のことは忘れない。薄くて軽く、何より濡れなければ、遠目には海パンの様に見えるので、スイムショーツでプールサイドを歩けるのは、何よりの快感であった。





 こうなると私は、(もう諸兄にはお分かりのように)このシリーズは全て集めずにはいられない。
 調べてみると、このシリーズには3タイプあり、うち2タイプにカラーが4色あることが分かった。3タイプとは、ビキニ、スタンダード、ロングである。色は通常のベージュに加え、愛用のブルー、それにクリームとピンクである。定価はすべて850円で、サイズはフリー。MとかLとかはない。
 また全製品、箱は共通。正面とふたから内部の色が見えようになっている。すべて同じ箱(右写真)なので、今回は各製品ごとに箱は表示しない。

 この時同時に型番の構成も理解できた。「83SS-」はすべてに共通している。SSとは、「スイムサポーター」のことだろう。その後、ビキニは10、スタンダードは20、ロングが30なのである。その後は色を表し、21がブルー、46がクリーム、49がベージュ、64はピンクである。だから、83SS-1021はブルーのビキニである(下左)。
 次にクリーム。83SS-2046のスタンダード(下右)。いい色だがブルーより透けやすい。もっとも濡れれば皆同じだが。ここでは裏返してみた。「SPEEDO」のロゴが見えると思う。





 カラー物の最後はピンク。83SS-2064

 クリームとピンクはビキニも持っていたのはずだが、現在は何処に行ってしまったか。古くなったので捨てたのかも知れない。





 ベージュは、どうでも良いのだが、一応紹介だけしておく。83SS-10492049である。





 最後は、ロング、男にはあまり用のない品だ。





 私は、何年かこのブルーのスイムショーツでで水泳を楽しんだが、ある夏、更衣室の外にあるシャワーで、女子高生の2人連れと鉢合わせしてしまった。
 無論こちらはスイムショーツ1枚なのだが、女の子2人は目をそらすでもないので、そのまま水をかぶり続けた。すっかり濡れてしまってから、2人は顔を見合わせて、1人が「あたしいやだ〜」だと。今更、「やだ」もないもんだ。人の大事なところの血管まで見ておいて。

 でも、本当に、このシリーズは色こそ付いているが、透け防止にはならない。80年代、それも前半の競泳水着はほとんど紺か黒だったので、問題はなかったのだろう。
 80年代も終わりになると、このシリーズは店頭から姿を消してしまい、ミズノの本店であるエスポートのみで、850円を500円に値下げして売られるようになった。もはやこれまでかと思ったが、どっこい、カラースイムショーツは不滅である。今度は、型番を50番と60番に変更して新シリーズが始まった。

 次回予告に代えて、1つ見ていただこう。「83SS-6064」ピンクのスタンダードである。



ズキっちのワンポイント評論

 「無人島の1冊」という問いかけがある。もし無人島で生きるとして、1冊だけ本を持っていけるとしたら何を持って行くか、と有名人などに向けてアンケートをとったりするのだが、その例えで、「無人島の1枚」のスイムショーツを問われたら、私はやはり、ミズノの83SS-2021だろう。
 穿いてみても締め付け感がなく、軽い。男性の私が今でも愛用しているのに、女性には愛されず、5年足らず5年足らずで消えた。次回、第2シリーズとも言うべき5060型とともに、その「愛されぬ理由」とやらについて考察したい。


 と、言うことで、次回第6話は「スピードその2」、後編は90年代「カラースイムショーツの挫折」編です。


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