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季節は6月上旬、もうすぐ梅雨に入ろうかという頃。真夏の8月の日差しには到底及ぶべくも無いものの、その湿度と徐々に強くなりつつある太陽の日差しは、心地よく過ごすには辛い季節である。 こんな季節、学生達にとっても蒸し蒸しとした体育館での体育の授業は辛いものである。誰もが冷たいプールに飛び込んではしゃぎたいと思うものであろう。ここ私立聖真女学院中等部1年C組に所属する辻谷智美もそのように思う一人であった。 1年C組は金曜日6限目、つまり週の最後の授業が体育の授業であった。1週間の最後にわざわざ体を酷使させる体育があるということに、入学当時、智美は「一体誰が、こんな陰険な時間割を組んだのよ!!」と半ば本気で叫びかけたものだが、さすがに今ではそれにも慣れ、学校が終わった後の週末のお出かけやテレビ番組の事を考え、体育の授業が終わるのを待っていた。 今、体育館ではバレーボールの試合の真っ最中である。体育の授業とは言え、素人の中学1年生のするバレーボールである。高度なラリーが続いたり、強烈なスパイクや見事な回転レシーブが決まるはずも無い。トスが3回続く間に相手陣へボールが戻れば御の字といったレベルである。見ていて決して楽しいものではないのだが、やっている方はそれなりに楽しめるのだろう。嬌声を上げながら、プレーを楽しんでいる。 智美は、肩の下まである黒髪を黒い輪ゴムで一つに束ねて背中に垂らし、コートサイドに座って試合を観戦している。本当は可愛いリボンで髪をアップにして、ポニーテールにするのが一番のお気に入りなのだが、私立校ということもあり、校則でそのようなリボンは認められていない。普段も、髪を気分によって一つ、或いは二つに束ねて肩の後ろに垂らしている。大きな瞳が印象的で美人と言うよりは、可愛いと言った方が適切であろう。妖艶さとは無縁ではあるが、この年頃の少女が持つ最大の魅力、快活な美しさを智美は放っていた。 智美は正直なところ、バレーボールが好きでは無かった。別に智美自身、運動神経がひどく悪いという訳ではない。しかい、いかんせん身長が低かった。12歳になった現在、まだ142cmしかないのだった。この身長の低さはバレーボールをする際に不利な要素になることはあっても、その逆はありえない。クラスには智美よりも背の低い娘は何人かいるが、それでもかなり低いことには違いない。母や、同じ聖真女学院に通う高等部1年の姉、愛美も160cm近くあるのだから、自分もそれくらいの身長になれるだろうと思う。いや期待しているのだが、本当に背が伸びるのかどうか不安な気持ちでいっぱいであった。「まだまだ成長期だもんね!!」と自分自身に言い聞かせているのであるが、身長と同じように、また自分の体のことについてもコンプレックスがあった。 身長142cmに対して、智美の体重は35kgとそれに見合った軽いものであった。体重のことについては、友人達からも随分とうらやましがられるのだが、逆にその小柄な体型に比例して、困ったこともあるので有った。胸が小さいのである。もちろん、12歳になった智美が全く胸の膨らみが無いのかと言えばそんなことは無い。自分でも去年の同じ頃に比べれば、ふっくらと胸が大きくなってきているのを自覚している。しかし、それは女性を感じさせるには、まだまだあまりに小さく幼いものであった。ブラジャーも付けてはいる。だが、成熟した大人の女性が使うような艶やかなブラとは違い、わずかな胸の膨らみを支えるスポーツタイプのブラであった。胸にピッチリとフィットし幼い胸をしっかりと支えてくれる、実用面では文句の無いものであったが、やはり、「他の友達が着けてるような可愛らしいブラも着けてみたい…」と思うのも、多感な12歳の少女が抱く感情としては当然のものであろう。もっとも姉の愛美や妹の恵美が言う、「あんた(智ネエ)みたいなまな板胸のペッタン胸が、ブラなんて必要無いじゃない!!」といった悪口も真実の一端を突いているのかもしれないが…。 もう一つ、体のことで智美が悩んでいるのは、女の子の大切な部分を覆うもの、アンダーヘアーの事であった。お風呂で見るたびに智美が思うこと、それは「まだ全然だなあ…」ということであった。その幼い胸と同じように、大切なアンダーヘアーも全く生えていない訳では無い。ヘアーが生えているのに智美が初めて気づいたのは、小学6年生の秋のことであった。智美は同じ頃に初潮を迎えた。その事は、他の娘に比べて特別早いとか、遅いとかいったものではないであろう。そして、彼女も他の女性が行うのと同じように、月経の処置を自分で行うようになったのだが、その時に初めて自分の大切な部分に黒い縮れたヘアーが数本、生えているのに気づいたのであった。それまではただの割れ目に過ぎなかった部分に数本とはいえ、見慣れぬ物が生えてきていることに気づいた時は大きなショックではあった。しかし、そのヘアーが少しずつ長さと本数を増やしていくにつれ、智美はその見慣れぬ物を次第に受け入れていくことが出来たのであった。 今、智美を悩ませているのはヘアーの生え具合であった。初めて気づいた時に比べるとはるかにたくさんのヘアーが生えてはいるのであるが、客観的に見て、まだそれは下腹部の茂みと言うよりは翳りと言うのが適切な程度であろう。成熟した女性に比べると、まだ長さも本数も遥かに少ないものである。本来ならアンダーヘアーが隠すであろう割れ目も、遠目でみてもまだはっきりと分かる、その程度しか生えていないのであった。女性のヘアーを形容する逆三角形というものには程遠く、「まだまだお子様の生え方ね♪」という愛美の悪口にも言い返すことの出来ない智美なのであった。 「みんなはもっと生え揃ってるんだろうな…」と漠然と智美は思っている。しかし、それが正しいかどうかは、今の時点では分からないことである。いくら女子中とはいえ、素っ裸になって着替える訳ではないのだから、友人達のアンダーヘアーの生え具合がどんなものなのか分かるはずも無いし、実際に見た経験も無い。さすがに「ねえねえ、どれくらいヘアー生えてる?」と聞く訳にもいかず、ただ自分自身の心の中で友達のヘアーがどんなものかを想像するしかないのである。もっともこの事は、智美だけに限らず、他の女の子達にも共通した悩みなのかもしれないが。 初潮を迎え、胸が膨らみ始め、アンダーヘアーが徐々に生えてくるこの年代の少女にとって、他の少女達の体の変化は、最も関心の高い事の一つであろう。比べる基準はもちろん自分自身の体である。しかし、お互いにはっきりと比べっこをする訳でもなく、想像だけがエスカレートし、「自分の体が一番幼いんじゃ…」と思い込んでしまいがちである。そして、智美もそのような少女の一人なのであった。 「ねえねえ、智美さん」 智美は、自分の横に座った友人、高瀬美紗から話し掛けられた。美紗もコートサイドでの試合観戦組なのであるが、暇を持て余しているようであった。 「何?美紗?」と美紗の方を振り向きながら、智美は尋ねる。 高瀬美紗は、智美が聖真女学院に入学してから最初に出来た友人であった。丁度、出席番号で席が前後であり、二人はすぐに打ち解けた。栗色がかった肩までの長さの柔らかい髪の持ち主である美紗は、垂れ目であるためか、顔立ちは智美以上に幼く、「人形さんみたいにかわいらしい」という形容がふさわしい容姿であった。その性格もよく言えば穏やかで暢気、悪く言えば天然ボケが入っているというのが最もぴったりしているだろう。身長は152cmでさすがに智美よりは大きかったが、体重は55kgとややぽっちゃりとしており、本人はそのことをいたって気にしていた。 美紗は「智美さんの体重がうらやましいですぅ!!」とことある毎に、智美に言っていたが、智美にしてみれば、「私のほうこそ美紗の胸がうらやましいわよ!!」と言い返したくなるのであった。そう、4月生まれの美紗は既に13歳になっているのだが、その胸は、ようやく膨らみ始めた智美の胸とは明らかに違い、しっかりと大人の女性の胸の形を成しているのであった。もちろん、まだBカップ程度なのではあるが、制服のブラウスや体操服の上からでもはっきりと分かる彼女の胸の膨らみは、智美にコンプレックスを抱かせるには充分な物なのであった。 「バレーボールも今日で最後ですし、来週からはいよいよプールですねぇ」と美紗。 「そうね、これから暑くなるから楽しみだね!!やっぱり、夏は体育館でバレーよりもプールの方が気持ちいいよね!!」 と本当に嬉しそうに智美は言う。 1年C組は、来週の体育の授業からいよいよプールでの水泳が始まるのである。それに先立つ5月上旬には、ごく簡単なものではあったが水着の採寸があり、今日の午前中にクラス全員に水着が手渡されたのであった。聖真女学院中等部の指定水着は、生地の厚い黒のいわゆるスクール水着では無く、むしろ競泳水着に近い、比較的生地の薄いものであった。カラーは薄い水色であり、サイドに白いラインが走っているタイプであった。もちろん、水着のカットはハイレグでは無く、普通のローレグカットであり、背中も大きく剥き出しになっている訳ではない。露出度はそれほど高い訳では無いが、ある意味、野暮ったさを感じさせることもあるスクール水着に比べて洗練されており、生徒からの評判は悪くは無かった。いや、むしろ好評だったと言えるだろう。ちなみに、高等部の指定水着は、同じようなタイプなのであるが、カラーが赤で、水着のカットが幾分ハイレグっぽくなっているタイプであった。 智美は昔から泳ぐのが好きであった。小学校の時も、夏のプールの時間は本当に楽しみであった。男子に水着を冷やかされるのは嫌であったが、今は周りには女の子しかいない。男子の目も無い訳だし、思う存分、水泳を楽しめると思っていた。 もちろん水泳を楽しむ以外に、密かな期待も智美は持っているのであった。それは着替えの時である。プールに入るには当然、水着に着替えないといけない。その時、嫌でも皆が裸になる訳であるが、それは他の女の子の体の発達具合をチェックすることが出来るチャンスであるのだった。普段、悶々と悩んでいる、他の娘達との成熟度の比較をすることが出来る。特に普段は窺い知ることの出来ない、アンダーヘアーの生え具合もチエックすることが可能かもしれない。もちろん、自分自身の体も他の娘達からチェックされるピンチでもあるのだが、そこはいかに上手に隠して着替えるかである。中でもアンダーヘアーは絶対に見られたくないと、智美は思っている。この辺り、「自分のアンダーヘアーは誰にも見られたくないけど、友達のアンダーヘアーはしっかり見てやろう!」というかなり自分勝手な思考なのであるが、これもまたこの年代の少女達特有の恥じらい・好奇心・羨望などが入り混じった純粋な想いではあるのだろう。もっともこれは少女達だけでなく、少年達にも共通した想いかもしれないが… 智美は「絶対に着替えてる時に皆のアンダーヘアーをチェックしてやる!!」と密かに思っているのだが、今はまだそんなことをおくびにも出さずに、来週の水泳の授業について思いを馳せ、会話を楽しんでいる。 「水着をもらいましたけど、一回家で試しに着てみないといけないですねぇ」 「うんうん、美紗は胸がきちんと入るかチエックしないといけないもんね」 智美が軽く揶揄するつもりで美紗に言うと、 「智美さんも、水着がずれ下がって胸が出たりしないか確認するんですかぁ??」 と、全く悪気も無く、美紗が智美に尋ねる。 時々、見せる天然ボケが美紗の魅力の一つなのではあるが、この一言は智美に向かって言うにはあまりにも危険過ぎた。 「みーさー、あなたは思っていても、決して言ってはいけない事を…」 引きつった笑いを浮かべた智美の台詞には殺気がこもっていた。 「そんなぁ、私は別に智美さんの胸が小さいとか、えぐれてるとか言ってる訳ではぁ…」 墓穴を掘りまくる美紗。 「私よりちょっと胸が大きいからって!!」 「ちょっとじゃなくて、かなり大きいと思いますぅ」 美紗の方ににじり寄り、くすぐり攻撃を開始する智美、必死に抵抗して反撃の機会を伺う美紗。そんな二人が体育教師、佐久間摩耶から注意を受けるのは当たり前のことであった。 長かった体育の授業も終わりに近づいてきた。智美と美紗は、今はおとなしくバレーの試合を観戦しながらおしゃべりを続けている。 「でも、水着も揃ったから、あと水泳の授業に必要なのは、スイミングキャップくらいだよね?」 智美が何気ないつもりで美紗に言う。美紗は少し考えてから、 「そうですねぇ…あっ!あとアンダーショーツを用意しないといけないですねぇ」と智美に答えた。 「えっ??アンダー…何??」 てっきり肯定の言葉だけが帰ってくると思っていた智美は、聞き慣れない言葉を耳にして思わず美紗に聞き返してしまった。 「へっ??智美さん、ご存知ないんですかぁ??アンダーショ…」と意外そうな顔で美紗が答えようとした時、試合終了の笛が鳴り、全員集合の合図がかかったのであった。 整理体操が終了し、佐久間摩耶から「来週からはプールで水泳の授業になるということ」「各自、水着を忘れずに持参すること」などの注意点が伝えられている時、智美は美紗に話し掛けていた。 「ねえ、さっきの話の続きなんだけど…?」 「はいぃ、アンダーショーツのことですねぇ…」と美紗が答えようとした時、丁度、授業終了のチャイムが鳴り、美紗の言葉はかき消されてしまったのだった。 美紗に話し掛けていた智美には、だから摩耶先生が「必要な子はきちんとスイムショーツを用意しとくように!」という最後の注意点も聞こえていなかったのであった。 |
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聖真女学院は中高6年間一貫教育を行っている、私立の女子高である。いわゆる進学校として有名なのであるが、同時に高等部のいくつかの運動部が全国大会にも出場するような強豪であるというのも、また、この学校を有名にしている理由でもあった。 高等部はいわゆる進学コースと体育コースに分かれており、智美の姉、愛美は進学コースに所属していた。中等部にはそのようなコース分けは無いのであるが、内部進学する生徒のほとんどは進学コースに進むことになり、智美も3年後には高等部進学コースに進んでいるであろう。 高等部の運動部で強豪として特に知られているのは、水泳部・チアリーダー部・新体操部の3つであり、その他の運動部もこれら三傑ほどではないにせよ、充分強豪といえるところがたくさんあった。ただ中等部では各部が活動を行っているものの、将来、進学コースに進むであろう娘たちの集まりのためか、強豪と言えるほどの運動部は無いのであった。 6限の体育の授業も終わり、1年C組の少女達は更衣室で着替えの真っ最中である。聖真女学院は私立校にしては珍しく、週休2日制を導入しており、少女達の会話の話題は、これから始まる楽しい週末の予定のことで持ちきりであった。 「美紗は今日、これからクラブなの?」 その幼い胸を隠すように体操服を脱ぎながら、智美は隣で着替えている美紗に尋ねる。 智美が、少しでも胸を隠すようにもぞもぞと着替えているのに対して、美紗は大胆にも体操服を完全に脱ぎ去って着替えている。「胸に自身が無いと出来ない着替え方よね…」と思いつつ、智美の目はしっかりと自分のものより大きい、美紗の胸の膨らみとブラに釘付けになっていた。そんな智美の視線に気づいていないのか、ブラウスを羽織り、胸のボタンを順番に留めながら、美紗は答える。 「はい、今日は放課後に科学部の実験がありますのでぇ」 意外なことに、高瀬美紗が所属しているのは科学部なのであった。 その天然ボケぶりにも関わらず、美紗は理数系の科目が得意であり、クラブ活動で色々と科学実験をしているのであった。それは、とある市立病院の外科部長である父親と、小児科を開業している母親の血を美紗も引き継いだためなのだろうか?いずれにせよ彼女も将来は医師を目指して頑張っているのである。 「智美さんの方こそ、今日は文芸部は無いのですかぁ??」と聞き返す美紗。 「今週は無し。もっとも有っても、集まって本を読んでるだけだけどね」 体操服を四苦八苦の末、着替え終わった智美が答える。 美紗とは対称的に、智美は文系科目が好きで、文芸部に所属していた。もっとも智美自身が言うように、元々、派手に活動しているような部ではないので、運動部のように毎日集合がかかるとかいう訳ではない。定期的に部員が集まることはあるが、その回数は他のクラブに比べて少ない。 「それじゃ、今日は一人で帰らないといけないね」 制服のチェックのスカートに足を通しながら、智美は言う。聖真女学院の制服は、上はブレザー、下はチエックの柄の、膝丈のプリーツミニスカートであり、中等部、高等部ともに大きな差異は無い。ただ学年が上がるにつれ、スカートのウエスト部分を折り返す等の改造を行い、丈を短くする傾向があるようだが…。 智美自身は、まだ入学して間も無いこともあり、普通に着こなしているだけだが、元々、ミニスカートであるため、スカートの裾からは膝頭が覗いている。 「ごめんなさいねぇ、智美さん」 「ううん、仕方ないよ」 「クラブの無い時にまた一緒に帰りましょうねぇ」 などと、他愛もない会話を続けながら、二人はスカートのホックを止め、制服を整えていた。そして美紗はスカートをたくし上げ、その中に腕を入れると、それまで着用していたブルマを脱ぎ始めた。智美の方はというと、制服を整えるだけでスカートの中にそのままブルマを着用したままであった。ブルマをたたんでいる美紗に対して、智美が 「ねえ、美紗。スカートの下にブルマ穿いてなかったら、やっぱり不安じゃない?」 と、今までにも何回かした質問を繰り返した。 「そうですかぁ?私は昔から、スカートの下にブルマなんて穿いてませんよぉ。はしたない格好とかしなければ下着が見えるなんてこと無いですしぃ」 「それに大人の女性で、スカートの中にブルマ穿いてる人なんていないじゃないですかぁ」 と、美紗がいかにももっともな事を答える。 「でも、自分では注意してても、スカートめくりをされたりとか…」 小学生の時、智美は、何度となくクラスの男子からスカートめくりをされてきたのであった。別にそれは智美一人が狙われていた訳ではなく、スカートをはいている女子は皆、餌食にされていたのであるが、その防御策としてブルマ着用というのは、最も効果的な方法なのであった。中学生になってもその辺りの感覚はすぐには変わらないのか、智美は小学生の時と同じように、まだスカートの下にブルマを着用しているのであった。 「それにスカートめくりされても、周りは女だけなんですしぃ、少し下着を見られたくらいで恥ずかしくないとおもいますけどぉ」 「それは、そのとおりなんだけどもね…」 そう言って、智美が鞄を取ろうと前かがみになったその瞬間!! 「智美!!隙あり!!」 突然、後ろから撥ね上げられる、智美のスカート!!ブルマを着用していたため、スカートの下からは黒いブルマが見えただけであったが、もしそうでなければ、パンチラ程度ではなく、パンモロと言って良いくらいであろう。それほど、豪快に、完璧に智美のスカートはめくり上げられてしまったのであった。 「きゃあああぁぁぁ!!」 スカートが撥ね上げられた瞬間、悲鳴を上げ、スカートを押さえる智美。ぐりんと後ろを振り返ると、スカートを撥ね上げた張本人である西野翔子が笑っていた。 「なんだ、またブルマ穿いてるの?全然面白くないじゃない」 「面白くなかったら、めくらないでよ!!」 「でも、ああいう無防備な所を見ると、どうしてもめくりたくなっちゃうのよね♪」 ケラケラと笑いながら、まだ体操服のままの翔子が答えた。 西野翔子も、やはり智美のクラスメートの一人で、休み時間や昼食の時は美紗も含めてよく三人で集まっている。三人の中で一番の長身で、既に160cmに達している。しかし体重は52kgと痩身で、短く切り揃えた黒髪、少しつり目の所など、悪戯なネコといった印象がぴったりの少女であった。 三人の中で、運動神経も一番よく、中等部のチアリーダー部に所属している。この後もクラブの練習があり、体操服のままでいるのはそのためである。また、一番の悪戯好きで、智美と出会ったのも、入学式の翌日、教室で智美が美紗とおしゃべりをしている時に、後ろから近づいてきた翔子にスカートを撥ね上げられたのが最初であった。 「何てことするのよ!!」 と怒る智美に対して、 「隙だらけで、無防備に立ってる方が悪いんだよー。それにブルマを穿いてるんだから構わないじゃない♪」 と、笑いながらとんでもない理屈を言う翔子。最初の出会いは決して良いものではなかったが、明るく、裏表の無い翔子と、智美はすぐに打ち解けたのであった。しかし、悪戯好きな所は変わっておらず、智美は今までに何度と無く、一瞬の隙を突かれて翔子にスカートを撥ね上げられているのであった。ただ、ブルマ着用でガードしているため、パンチラを見られた事は無いのであるが。 「智美ってやっぱり隙が多いのよねー。スカートの下にブルマ穿いてるからって安心感がいけないんじゃない?」 「翔子みたいにスカートめくりをしてくる子がいるから、仕方無いじゃない。それに自分だってスカートの下にブルマ穿いてるくせに!」 「んー、そうだけどね。でも隙が無ければめくれないよ。現に美紗のスカートはめくったこと無いし」 翔子に何度もスカートめくりをされている智美であったが、別に彼女だけが集中攻撃をされているわけではない。翔子は他の女の子も標的にしているし、智美自身も別の女の子のスカートを撥ね上げたこともある。どうも、スカートめくりという悪戯は学年・クラスは変われど周期的に流行るもののようだ。姉の愛美も中等部の時、定期的に大流行した事があったと言っていた。しかし、スカートめくりと言っても、クラスの大半はスカートの下にブルマを着用しているため、パンチラはまずありえなかった。まだまだ小学生の時の感覚が抜けていないのであろう。実際にスカートの下にブルマを着用していないのは、小学生の時もそうだったと言う、美紗くらいであろう。 現在は、第一次スカートめくり大流行期もクラス全体としては沈静化に向かっている状態だが、翔子のスカートめくり攻撃はまだまだ健在で、多くの女の子が彼女の餌食にされているのであった。あっという間に相手のバックに回りこみ、一瞬の隙を見逃さずスカートの裾を撥ね上げる、そして自分自身は決してスカートをめくられない。そんな芸術的とも思える技術を持つ翔子は、今や、「スカートめくりの女王」としてその名を轟かせていた。翔子にスカートめくりを一番されている智子は何度か翔子のスカートを撥ね上げてやろうとしたのだが、あっさりと気づかれ、逆にスカートの裾を撥ね上げられるのであった。 そんな翔子であるが、今までに美紗のスカートだけは一度も撥ね上げることに成功していないのである。隙を突いて後ろに回りこもうとしても、なぜか気づかれ、「翔子さん、何しようとしてるんですかぁ?」とニッコリ笑われると、すごすごと退散するしかない。その腹いせは全部智美のスカートに回されるのだから、智美としてはたまったものではないのだが…。 今回も、美紗がスカートの下からブルマを脱いだのを確認し、近づいてきたのだが、全く隙がなく、代わりに隣にいた、智美のスカートを撥ね上げたのであった。もちろん下にブルマを穿いているのは予想済みである。 「やっぱり、美紗ってブルマ穿いてないぶん、周りへの注意力が高いのかな?智美みたいに隙が無いもの」 「そうなんでしょうかぁ?しゃがんだりする時に下着が見えたりしないように注意はしてますけどぉ」 「どうせ私は隙だらけですよ…」 拗ねたように、智美がいう。 「だから智美も、美紗のようにスカートの下にブルマを穿かないようにしたらいいのよ。そうしたら、隙が無くなるかも?でも、その時は私に捲られたら、パンチラ確実だね」 と、笑いながら翔子は智美に向かい、キックを繰り出す。しかし、それはもちろん智美を蹴ったりするためではなかった。翔子のキックは正確に、智美のスカートを狙っており、つま先でスカートを引っ掛けてめくり挙げる。 「こんなふうに!」 「きゃあああああぁぁぁぁ!!!」 本日二回目の智美の悲鳴が響き渡ると、翔子は踵を返し、 「それじゃ、クラブに行くからまた来週ね!!」と笑いながら走り去っていった。 智美はわなわなと拳を握り締め、「翔子のやつー、絶対にいつか捲り返してやる!!」と固く誓うのであった。 それを聞いた美紗は、「でも、やっぱり、智美さんが逆に捲り返されるんでしょうねぇ」と再び墓穴を掘るようなことを言うのであった。 「みーさー、あなたはいつもいつも言わなくていいような事を…」 智美の迫力に、さすがの美紗も危険を感じ取ったのか、 「あはははは、それじゃぁ、私もクラブに行きますねぇ」 と、そそくさと退散するのであった。 一人残された智美であったが、荷物を整えると、「それじゃ、私も帰ろうかな」と更衣室を出て行くのであった。智美はこの時になって、初めて「そう言えば、授業中に美紗が言ってたなあ。アンダー…なんだったっけ??」と、まだ美紗に教えてもらってないことに気付いたのだが、「まあ、別にいいか。大したことじゃ無いだろうし…」と自分で納得して、この事を記憶の奥にしまいこんでしまうのだった。 「この時に美紗にアンダーショーツの事を教えておいてもらえば良かった!!」と智美は後に思うことになるのだが、彼女自身、まだそんな事になるとは思ってもいなかった。 |
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智美は聖真女学院まで電車通学をしている。家から最寄の駅までは歩いて10分、その駅から普通電車で三駅、その駅で急行電車に乗り換えて約10分で、学校の最寄の駅に到着し、そこから歩いて15分の所に学校はあった。電車の待ち時間などを考えると40分から50分の通学路である。電車は、特に朝の急行は込み合っているのだが、身動きが全く取れないほどの、殺人的なラッシュと言うほどでもなく、10分間の我慢で済むのだから、智美も耐えることが出来ている。ただ、背の低い、智美にとってはラッシュが息苦しくて大変なことには違いないのだが。 学校の最寄の駅は、かなり大きなターミナルで、駅ビルや周囲には色んな店も並んでいる。美紗や翔子と一緒に帰る時などはしばしばそういう店に立ち寄ったりもする。ただ、今日は智美一人だし、素直に電車に乗って帰ることにするのであった。 ラッシュ時間にはまだ早く、車内は空席もあるくらいであった。急行から普通電車に乗り換え、空席を探すのに車両内を見回すと、幼馴染の渡晃輝が座っているのを見つけた。一瞬、「どうしようかな?」と思った智美であったが、車両内には自分の学校の生徒も、彼の学校の生徒もいないと分かったので、近づいていき、その前に立った。 「晃輝、今帰り??」 「あれ、智ちゃんも今帰りなの?」と、いきなり話し掛けられて少し驚いた晃輝であったが、相手が自分の幼馴染と分かると、微笑みながら彼は答えた。 晃輝は、辻谷家の隣に住む渡家の一人息子である。智美の父、辻谷宏幸と晃輝の父、渡真一が大学時代の電子工学研究室の同窓生であり、更に智美の母、京香と晃輝の母、雪奈が古くからの友達と言うこともあり、両家は智美や晃輝が生まれてくる前から親しくしており、それは現在まで続いているのであった。どうやら、大学生時代に、真一に雪奈を紹介したのが、当時宏幸と付き合っていた京香らしい。現在、京香は専業主婦で、宏幸はソフト製作会社を経営し、大学とはあまり縁の無い生活であるが、渡家の両親は現在も大学に残りそれぞれ研究を続けており、真一は電子工学関係の、雪奈も生物学関係でかなり有名な存在であるらしい。智美自身は、その凄さはあまりピンと来ないのだが、毎朝、「大学に出勤する途中だから」と、晃輝と一緒に駅まで車で送ってくれる優しいおじさま、おばさまであることは間違い無かった。 渡晃輝は、母、雪奈に似たのであろう、色白で、同年代の男子と比べても細身の少年であった。目を見張るような美少年ではないが、母親似の女性的で繊細な顔立ちであった。身長もまだ160cm足らずだが、父、真一が身長192cm、体重95kgととても研究者とは思えない、厳つい体格をしているので、その遺伝子を受け継いでいるはずの晃輝もこれからどんどん背が高く、体も大きくなっていく可能性は少なくない。なんと言っても、智美と同じく「まだまだ成長期!」なのだから。 ちなみに真一は厳つい体格に加え、髭も生やしており、車を運転する時のサングラスをかけた姿を見ると、大概の人間が逃げ出すことであろう。しかし、真一はその体格に似合わない、穏やかな性格であり、晃輝もそんな両親の穏やかで、優しい性格を引き継いでいた。 小学生の時、智美と晃輝は同じクラスであったが、悪ガキの男子が、スカートめくり等などで女子をからかっている時も、その輪の中には入らず、「やめときなよ」と言うような少年であった。もちろん、智美は晃輝にスカートめくりをされたり、晃輝が他の女子のスカートを捲ったりした所は見たことが無い。そう言ったことに興味が無い訳ではないのだろうが、他人の嫌がる事をするのが嫌という純朴な気持ちの方が強いのだろう。 得てして、苛められやすそうなタイプの晃輝であったが、その穏やかな性格以外にも、彼が両親から受け継いだものがあった。それは、両親の頭脳であった。共に大学で研究を続けているという両親の頭の良さを、余すところ無く受け継いだのか、晃輝は勉強がよく出来た。智美自身、進学校である聖真女学院に合格して通っているのだから、かなり学校の成績は良かったのだが、晃輝はそれ以上に成績が良かった。実際に、彼は聖真女学院以上の進学校である私立城山学園に合格し通っている。ただ成績が良くても元々の性格なのか、それを威張ったりせず、他の同級生に勉強や宿題を教えてあげたりしていたため、クラスで苛められるというようなことは無かった。むしろ、彼のことを一番からかっていたのは智美であろう。 今でも智美は、毎朝駅まで、渡夫妻に晃輝と一緒に車で送ってもらっているのだが、一緒なのは彼女が急行列車に乗り換える駅までであり、晃輝はそのまま普通列車に乗って通学しているのであった。晃輝の父が出張のため不在で、車を出せない時などは、歩いて駅まで行くのだが、その時もそれまでの習慣からか、一緒に駅まで行っているのであった。今日のように、たまに帰り道で一緒になることもあるのだが、友人と一緒の時には、わざと知らん振りをして、彼女らと分かれてから晃輝に話し掛けるのであった。 「美紗や翔子に見られると、からかわれるに決まってるし…」というのが智美の言い訳なのだが、いくら幼馴染とは言え、男の子と一緒のところを見られるのは、この年頃の少女にとっては恥ずかしいものなのだろう。 智美と晃輝は駅から自宅までの道を歩きながら、学校での出来事などについて話している。家が隣同士だけでなく、部屋も向かいなので、屋根の上を伝っていけば簡単にお互いの部屋まで行くことが出来る。さすがに小学5年生頃から、智美が「女の子の部屋に入るなんて駄目!!」と言い出し、晃輝が彼女の部屋に入ったのはもう随分前のことになるのだが、智美自身は晃輝の部屋に入ってきて遊ぶのだから、勝手なものである。もっとも晃輝自身はその事を大して気にもしてはいなかったが。最近はそれも少なくなったが、今でも週末などは、玄関からではなく、屋根を伝って智美が遊びに来ることも続いていた。ただその時は、大概、智美の姉の愛美や妹の恵美も一緒にやってきて、晃輝の部屋でテレビゲーム大会となるのであるが。 愛美も恵美も、晃輝のことを気に入っていた。愛美は「晃輝君て母性本能をくすぐるタイプよねー」と言い、恵美は「愛ネエや智ネエと違って、優しいから好き」なんて言っている。そう言うのを聞くと、智美は少なからずムカッと来るのだが、父や母が「晃輝君が智美のお婿さんになってくれたら文句無しなんだけどねー」と言うのを聞くと、「ただのお隣さんでしょ!!」と強く否定する智美なのであった。二人の間に幼馴染ということから生じる好意があるのは確かだが、それが男女の恋愛感情に育っていくのは時間が必要であった。 「もうすぐ水泳の授業が始まるんだけど、晃輝の学校はどうなの?」 「僕の学校も、もうすぐ始まるよ。水着も買わされたし。」 「どこの学校でも同じなのねー。でも晃輝の学校って共学だよね。女の子の水着姿を楽しみにしてるんじゃない?」 智美がからかうように、晃輝に言う。 「別に女子の水着が見たい訳じゃ…興味無いし…」 と、少し顔を赤らめて、晃輝が答える。こういった話題に弱いのか、晃輝のこの答えも智美が予想していたものであった。 「本当かなー??こ・う・き・く・ん?」 悪戯っ子の目で智美が問い詰める。二人は既に自宅の前に到着していた。しかし、智美は晃輝をからかうのを辞めるつもりは無かった。 「それじゃあ、こういうのにも興味無いのかな?」 と言いつつ、智美は自分のスカートの裾をつまむ。そしてゆっくりとそれを捲り挙げていく。 「な、何してるんだよ!!」 慌てて晃輝が声を上げる。 「えー?こういうのには興味無いんじゃなかったのかな??」 くすくすと笑いながら、するするとスカートを上げていく。既にスカートは太ももの付け根近くまで捲り上げられている。 「ふ、ふん。どうせブルマ穿いてるんだろ?ブルマなんて見てもなんとも無いよ」 「へっへー、残念でした。体育の後、暑かったから、今日はブルマ穿いてないの。ほれほれ」 もちろん、嘘である。しかし、晃輝にとってはもちろんそれを知る術は無く、幼馴染の「ブルマ穿いてないの」と言う言葉に凍り付き、白い太ももを凝視してしまっている。 「そろそろ終わりにしようかな?」智美にしてみてもいくらブルマを穿いているとは言え、完全にスカートを捲ってしまうつもりなど無い。「何見てるのよ!!H!!」 と最後には言って、からかうのを辞めるつもりであった。 しかし、間の悪いことに、そこに強い風が吹き付けてしまった。実際には、それほど強い風ではなかったかもしれないが、太ももの付け根近くまで捲り上げられているスカートを更に捲り上げ、智美のスカートの中を晃輝に見せるのには充分な風であった。 「きゃあああぁぁぁぁ!!」 予想外の突風に不意を突かれ、スカートを捲りあげられてしまった智美は、それまで晃輝をからかっていたことも忘れて、スカートを押さえてしゃがみこんでしまった。 真っ赤になって俯いていたが、しばらくして顔を上げると、晃輝はまだ茫然自失といった様子であった。 「ねえ…もしかして、今の見た?」 恐る恐る尋ねる智美の声に、ようやく我に返った晃輝が 「う、うん。ちょっとだけ」 と答えると、智美は真っ赤な顔を更に真っ赤にして叫んだ。 「もう!!信じられない!!ああ言う時はすぐに目を逸らすのが常識でしょ!!H!!」 「な、なんだよー。最初に自分でスカートを上げてたくせに!!それに、やっぱりブルマ穿いてたじゃないか!!ブルマなんて見てもなんとも思わないよ!!」 「しっかり見てるんじゃない!!」 客観的に見れば、悪戯心を出した智美の自業自得なのだろうが、同い年の男の子にブルマを着用しているとは言え、スカートの中を見られてしまうのは、許しがたい事なのであろう。玄関先で繰り広げられる二人の口論は、辻谷愛美が学校から帰ってくるまで続いていたのであった。 |
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「智美ちゃん、そこの洗濯物を愛美ちゃんの部屋に持っていってあげて」 日曜の夜、食事・入浴も終わり、妹の恵美と一緒にテレビを見ていた智美は、夜11時に近いこともあり、部屋に戻ろうとしたところであった。 母、京香に頼まれて愛美の服を持って、2階に上がる。 「愛ネエも自分の服くらい自分で持って上がれば良いのに」 と、ぶつぶつ言いながらその洗濯物を見ると、数枚のブラウスと水着であった。その水着は、聖真女学院高等部の赤い競泳水着であった。サイドに白いラインが入っているのは中等部の物と変わらなかったが、幾分裾がハイレグカットになっているようであった。 「高等部は赤の水着なんだー」 漠然とそんなことを考えながら、愛美の部屋の前まで来た智美は、ドアをノックする。 「愛ネエ、入るよー」 智美が部屋に入ると、愛美はベッドにうつ伏せに寝転んで、ポテトチップスをつまんで、雑誌を読んでいた。その耳にはヘッドフォンがはめられている。 「んー、ご苦労ご苦労。そこに鞄があるでしょ。その近くに置いといて」 雑誌から目を離さずに、智美に言う愛美。 さすがにムッとした智美が、 「そんな格好、高城君が見たら、幻滅するよー」 と、智美が愛美のボーイフレンドの名前を出して、意地悪く言っても 「んー、大丈夫大丈夫。彰の前じゃこんな格好しないし」 愛美は雑誌をめくりながら、事も無げに言う。 何を言ってもこたえないや、と半ば諦め、半ば呆れた智子が服を置きに部屋に入った。愛美の言うように机の近くに鞄が置いてあり、その近くにバスタオルとスイミングキャップ等が置いてあるのが見えた。愛美も恐らく、智美と一緒で明日の月曜日、水泳の授業があるのだろう。そのために準備してあるように思えた。服をそこに置き、バスタオルの上をふと見てみると、スイミングキャップ以外に普段、見慣れぬ物が目に入った。 「パンティかな?」 最初見た瞬間、智美はそう思ったのだが、よく見てみると、ベージュというか淡いピンクというか、智美自身が普段はいているパンティの中には全く無い色であった。それに、一見したところナイロンかポリエステル製なのであろうか、見た目も普通のパンティとは全く違う。そもそもなんでこんな所にパンティが一枚だけ置いてあるのであろうか? 智美は疑問に思い、そのパンティらしき物を手にとってみた。 「うわぁー…」 それが智美が初めてアンダーショーツを手にした時の感想であった。 バスタオルの上に置いてあったそれは、間違い無くパンティであった。しかし、今まで智美が身に着けて来た、或いは目にして来たパンティと比べると明らかに異なる物であった。ヒップ部も小さく、前の大切な所を隠す部分も小さい。サイドの部分は小指の太さ程度の幅しかなかった。色も単色で、柄も何も無く、裾のところに可愛いフリルが付いているわけでもない。パンティとして必要ない物を極限まで削ぎ落としていったような物であった。 「こんな小さいパンティ穿けるのかな…?」 智美がそのパンティを引っ張ってみると、想像以上に伸びた。伸縮性が非常に強いのだろう。これなら太腿も通りそうである。また、その肌触りもやはり見た目どうり、すべすべした物であった。それに見ただけでは今一つ分からなかったのだが、相当に薄い生地で出来ているということも分かった。 「愛ネエ…これ何…??」 智美は好奇心を押さえきれず愛美に尋ねた。そう、なぜ姉がこんな妙なパンティを持っているのだろうか?それになぜ水泳の用意と一緒に置いているのだろうか? 「んー???」 愛美は今度は、雑誌から目を上げ、不思議そうにアンダーショーツを引っ張っている智美の方を見た。 「あー、それ?何ってアンダーショーツじゃない」 愛美はさも当然と言う口ぶりで、智美に言う。 「アンダー……ショーツ??」 この時、智美はついこの間、美紗から聞きそびれた「アンダー何とか」がこれの事だったのかと気付いた。 「そう、アンダーショーツよ。智美知らないの?」 「うん、初めて見た…。でもこれって一体どうするの??」 「どうするって、穿くのに決まってるじゃない。」 「穿くってどうして…。なんで水着と一緒に置いてあるのよ?」 「どうしても何も、アンダーショーツって水着の下に穿く物だからじゃない。最初にアンダーショーツ穿いて、その上から水着を着るのよ。呆れた…。智美本当に知らないの??」 「水着の下に着けるって…嘘…」 愛美の話を聞いて、智美は衝撃を受けた。今まで、水着は裸の上に着る物だと、全く疑問を抱かずに思っていた。それが、水着の下にパンティ…アンダーショーツなる物を着用するなんて…。 「今まで、友達でもこんなの使ってるところ見た事無いよ」 「そりゃあ小学生くらいじゃあ、誰もアンダーショーツなんて使わないわよ。スクール水着だからというのもあるけど、その必要も無いしね。」 「愛ネエはこれ…アンダーショーツって必要なの??」 「当然じゃない!!アンダー無かったら大変な事になるもの!!」 何のためにこんな物が必要なの??と聞こうとした智美であったが、 「まあ、智美みたいなお子様にはアンダーショーツなんて必要無いわよね♪」 小ばかにするような愛美の言葉に思わずムカッとなる。 「お子様ってどう言う意味よ!!」 「あら、事実じゃない。まだ大事なところのおケケも生え揃ってないくせに♪」 「ま、まだ12歳なんだから当然じゃない!!」 「それがお子様の証拠なのよー♪それに今でもスカートの下にブルマなんて穿いちゃってさー♪この前の金曜日も晃輝君を誘惑するつもりでもスカートの中がブルマじゃねー。全然効果無いわよー」 「そ、それは全然関係無いじゃない!!」 「あーあ、可愛そうな晃輝君。こんな色気の無いお子様がガールフレンドなんてねー。今度愛美お姉さんがスカート捲ってあげるからねー♪もちろんブルマなんか穿いてないからねー♪」 「人の話を聞きなさいよ!!」 愛美に散々からかわれた智美がついに爆発した。智美が愛美におちょくられるのはいつもの事であり、その後、智美が愛美に掴みかかるのもいつもの事であった。 「あら、お姉様に逆らう気??」 智美と愛美の取っ組み合いが始まる。いつもいつも、挑みかかるのは智美の方なのであるが、三年の年齢差と、智美142cm・35kg、愛美159cm・55kgという対格差はどうしようも無かった。今回もあっさりと愛美に組み伏せらる智美であった。 ベッドの上でうつ伏せに組み伏せられている智美。愛美はその上に乗っかっている。 「お姉様に喧嘩を売るなんて、お仕置きが必要ね♪」 そう言って、愛美は智美の脇腹を擽り始める!! 「ひゃひゃひゃひゃは、卑怯よ!愛ネエ!!」 「あーら、まだ逆らう元気があるのね♪ほれほれ♪」 愛美は脇腹に加え、智美の脇の下も擽り始める。 「ひゃはひゃひひ、も、もう逆らいません!!ゆ、許して、お姉様!!」 「だーめ♪この際、しっかりとお仕置きしといてあげるからね♪」 「ひゃひゃはひ、ひぇーーん」 智美が愛美の擽り地獄から解放されたのは、どたばたと五月蝿いのを見に、母京香がやってくる10分後であった。 擽り責めからようやく解放された智美は、ふらふらしながら自分の部屋に戻った。 よく考えてみると、何のためにアンダーショーツなんて使うのか?という理由について愛美から聞いていなかった事に気付いたが、今更、姉のところに聞きに行く気にもなれない。 「美紗に電話しようかな…?」と一瞬思ったが、すでに12時近くになっており、電話をかける事は憚られた。多少、心に引っかかりはあるが、智美はそのままベッドに入った。 「アンダーショーツね…」 今までで初めて見たような下着。初めてブラをつけた日の事はしっかりと覚えている。その時も、凄く印象が強かったが、今日初めて見たアンダーショーツもその時に勝るとも劣らないインパクトがあった。 「なんか、すごくHっぽい下着だったなぁ…」 そんな事を思いながら、翌日のプールに思いを馳せながら智美は眠りに着いたのであった。 |
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翌朝、朝食を取り、着替えを済ました智美は鞄を持って、隣の渡家に向かった。チャイムを鳴らし、家の中に上がっていく。 「おはようございます!!」 渡家の家族も、既に朝食は終え、出勤・登校前のあわただしい一時であった。 「おはよう、智ちゃん」 「おはよう、智美ちゃん」 晃輝と晃輝の母、雪奈が智美を見て返事をする。厳つい真一とは対称的に色白で、いかにも研究者と言った感じの繊細そうな顔立ちであった。既に40歳を超えているはずだが、30代といってもまだまだ充分に通用するであろう。自分の母、京香も美人だと思っているが、雪奈おばさんの方がもっと綺麗と、智美は思っている。雪奈の顔を見てると、やっぱり晃輝は母親似だと思う智美であった。 「すぐに準備が終わるから、待っててね」 智美に優しくそう言うと、まだばたばたと着替えている息子に向かって 「ほら、早くしなさい!智美ちゃんが待ってるでしょ!!」 「今日から水泳なんでしょ。水着もちゃんと持って!!」 と急かす。 約10分後、用意の終わった晃輝、雪奈と共に智美が玄関から出て行くと、渡真一が既に車を出す準備を終えていた。 「おはようございます、おじさま!!」 「うん、おはよう。智美君」 いかにも仰々しく真一が挨拶をする。身長190cmを越える彼が運転する車は、4WDワゴン車であった。普通のセダンでは頭がつっかえてしまうためである。普段は普通の眼鏡をかけているが、車を運転する時には度入りのサングラスをかける。はっきり言って怖い。とても著名な電子工学の研究者には見えないであろう。 「さて、あと一人だな」 真一が言うのを聞いて、「先に出発しちゃって下さい」と智美は思わず言いそうになった。 全員が車に乗り込んだ所で、愛美がパンを咥えながら、辻谷家から走ってくるのが見えた。 「また、今日も寝坊したようだね」 と言う真一の言葉に、「あはははははは」と笑って誤魔化す愛美と、「我が姉ながら恥ずかしい…」と心の中で思っている智美なのであった。 智美・愛美の二人は、晃輝と一緒に渡夫妻の出勤に便乗して、毎朝駅まで送ってもらっているのだが、所要時間は約5分。歩くのとそれほど時間が変わるわけではないが、楽な事は確かである。 「愛ネエ、毎朝毎朝、寝坊して恥ずかしい…」 智美がジト目で愛美を見つめながら言う。 「あははは、別に寝坊したんじゃないのよ。水着を鞄の中に入れとくのを忘れてて」 咥えていたパンを咀嚼しながら愛美が言う。 「あら、愛美ちゃんも水泳なの??」 姉妹の話を聞いていた雪奈が尋ねる。 「はい、そうなんです。智美も確か今日の午前中に水泳があるんじゃないの」 「うん。天気は晴れてるし、今日も暑くなりそうだから今から楽しみなんです」 愛美と智美が一緒になって答える。 「うちの晃輝も今日から水泳の授業なのよねー。それなのに昨日の晩になってスイムサポーターが無いとか言い出して…」 「母さん、別に良いじゃない!!」 晃輝が女同士の話に口を挟む。 「大事な物はちゃんと用意しときなさいって言ってるでしょ」と雪奈が言う。 「晃輝君も中学生だもんねー。それを忘れると大変だもんねー」と愛美が笑いながら言う。 愛美のその言葉に、晃輝は顔を赤らめて俯いてしまったが、一人智美だけは、さっきの会話に出てきたスイムサポーターが一体何なのか、分からないでいた。雪奈と愛美の話を聞くかぎり大事な物であるようなのだが全く予想がつかない。 そうこうしている内に車は駅に到着し、三人は車から降りるのであった。 智美、愛美、晃輝の三人は駅から普通列車に乗り込む。この後に乗り換える急行に比べると、列車内は空いているとはいえ、さすがに空席は無い。それでも、車両内で会話をするくらいの余裕は十分にあるのであった。 智美は先ほどの車の中での会話で出てきた「スイムサポーター」という物が何なのかが気になっていた。 「分からない事は晃輝に聞いたら教えてくれるよね」 今までの経験から、智美はそう判断し、晃輝に尋ねることにした。 「ねえ、晃輝。ちょっと教えて欲しいんだけど」 「何?智ちゃん。」 「さっき車の中でおばさまや愛ネエが言ってたスイムサポーターって何??」 「な、何って言われても…」 何故か顔を赤らめながら、ドギマギとしている晃輝。 「別に勿体つけなくてもいいじゃない。教えてよ。」 「そ、そんなの別に何だっていいじゃない。」 「えー、教えてくれてもいいじゃない?」 「何でもいいだろ!女子には関係無いんだから!!」 「女子には関係無いってどういうことよ!」 智美にしてみれば何という事も無い質問のつもりだったのだが、12歳の男の子にしてみればスイムサポーターの事を突然、しかも同い年の女の子に質問されて、「おちんちんがぶらぶらしないように水着の下に穿くパンツの事だよ」とは恥ずかしくて答えられないだろう。 逆に智美の方も、もし晃輝から「アンダーショーツって何??何のために使うの??」と質問されれば恥ずかしくて答えることが出来ないであろう。もっとも今の時点では、智美自身がアンダーショーツの事について、ほとんど何も知らないような状態であるので、答えようも無いであろうが…。 ともかく、今までは、分からない事を聞いたら何でも教えてくれた晃輝なのに、と不満に思いながらも、彼が口をつぐんでしまったので、智美もそれ以上は聞くことが出来ず、列車はやがて急行の乗換駅に到着した。 「それじゃあねぇ、晃輝君」 愛美が、そのまま普通列車に乗って行く晃輝に声をかけて、智美と一緒に車両から降りた。 急行列車が入ってくるのをホームで待っている間、愛美が智美に話し掛けてきた。 「智美、男の子に『スイムサポーターの事を教えて?』なんて、からかっちゃいけないわよ。晃輝君だって恥ずかしいだろうし」 「別にからかってなんてないわよ。本当に分からないんだもん。」 「わざと聞いてたんじゃないの?」 「わざとってどう言う事?愛ネエ??」 「はー。我が妹ながら何も知らないのねー。やっぱりお子様よねー」 「もう、お子様お子様って言わないでよ!」 「まあ、女の子のアンダーショーツの事も知らなかった位だから、男の子のスイムサポーターなんて知ってる訳ないわよね」 「偉そうに言ってるけど、愛ネエは知ってるの?」 「とーぜん!!智美みたいなお子様じゃないし♪」 「それじゃあ教えてよ!!」 「やだ。晃輝君に教えてもらいなさい♪」 意味深にくすくす笑いながら言う姉に向かって、何て言い返してやろうかと考えた智美であったが、ホームに急行が入ってきて、タイミングを逸してしまった。そして、そのままラッシュに巻き込まれ、駅から学校までの道のりでも愛美に尋ねるタイミングを何となく掴めず、校門の所で別れたのであった。 |
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