カ・ラ・ダ・目当て


第1章、研究用プール

総合スポーツ用品企業M社中央研究所。
深夜の研究用プールに2人の影があった。
一人は男、一人は女。
二人とも一切の衣服を着けていない。
この研究用プールは深さ10メートルの円筒形をしている。
通常は潜水用品の商品開発などに使われている。
「私に追いついて・・」
女は男に言った。そして、一気に潜った。
水の中は照明に照らされて幻想的ですらある。
全裸の女は逆三角の見事な身体だった。
それに形のよい乳房がついている。
髪は短く、それをさらに後ろで縛っている。
顔立ちはまだ少女の面影を色濃く残している。
それに対して男はやせ形・・むしろ貧弱といったほうがよかった。
女はどんどん潜っていく。
男がそれを追いかけるが、なかなか潜れないでバタバタしている。
女はいったんプールの底に手をつけて、浮上してきた。
女は潜って追ってくる男をかわすように浮上していく。
男も反転してそれを追う。
「ぷあ」
女は浮き上がってくる男を捕まえてプール際に押しつけた。
「ああっ、もうこんなになっている」
女は膝小僧で男の男根をまさぐった。
すでに勃起しかけている。
女はいたずらっ娘のようにもう一度潜って男の男根をしごいた。
男根はあっという間に勃起した。
「お前だって・・・」
男の右の人指し指が無慈悲に女の股間の谷間に侵入した。
水の中に別の温度の液体が溶けだした。
「ああん」
女は、女性だけが出せる嘆息を上げた。
「濡れてるの」
「ああん、言わないで・・」
「もう、濡れているだ」
男は両手をプールサイドの排水用のくぼみにかけて身体を固定した。
女は水中で目一杯開脚して自分の股間を男の男根の上に持ってきた。
「し・・仕留めて・・仕留めて」
「濡れているのか、どうか答えてからだよ」
「濡れているわ・・・。もう、いいでしょう・・ああん」
その言葉を漏らした瞬間、男・・真崎誠の男根は、一気に女・・那須由希子の股間の谷に挿入された。
体温が別なためなのか、由希子の身体がビクリと動いた。
「ああん」
由希子は喜悦の言葉を口にした。
真崎はピストン運動を始めた。
「はあ・・はあ・・はあ」
律動に合わせて由希子は声を上げた。
広い肩、それにつながる美しいカーブで構成される大きめの乳房。
ピストン運動にあわせてその乳房がフルフルと揺れている。
それに合わせて波が起きている。
突き上げるたびに由希子の身体はずり上がった。
やがて、豊かな乳房は完全に水面上に上がり、上下運動のたびに乳房の下が「ピチャピチャ」と音を立てて水面を叩いた。
乳房の先にある乳首は完全に勃起し、石のような固さになっている。
乳輪も紅潮している。
「ああん・・ああん・・ああん」
由希子はアゴを上げ始めた。
「ああっ、もうイクよ・・イッちゃう!!」
「はあっ・・はあっ・・あん」
「ああ・・ぐ」
真崎は呻きを上げた。
次の瞬間、由希子は別の温度が自分の下腹部に広がるのを感じた。
「ああっ」
それに続いて、由希子は頭の中央部を強く押される感じを受けた。
自分の身体がどうなっているのか。
感覚が喪失した。
「ああっ」
真崎は全身から力が無くなるのを感じている。
接合が離れ、由希子の身体が再び水面下に落ちた。
「ゆ・・由希子」
意識の喪失はほんの数秒だったが由希子には何時間にも感じた。
潜ったのも数秒だったが何時間も息ができなかったようにも思える。
意識が戻ると同時に身体が水面に浮いた。
由希子は真崎だけではなく水にも抱かれた。




第2章、由希子

那須由希子は20歳。中学、高校時代は日本を代表するトップスイマーだった。
種目はバタフライ。
身長165センチの伸びやかな身体だった。
高校1年の時には世界選手権やアジア大会にも出た。
しかし、2年の2学期になってタイムががっくりと落ちた。
乳房が大きくなり尻が張った。
遅ればせながら「女の身体」になったのだ。
そのためか、どうしても身体が重くなった。

3年生の頃には国体選手がやっとという感じだった。
大学で選手生活を続けるのは無理と思われた。
進路を考え始める3年の1学期の頃だった。
由希子は女子体育大に進学して、選手ではなくインストラクターにでもなろうかなと思い始めていた。
「うちに来ない?」と誘ったのは総合スポーツメーカーM社の女性営業担当者だった。
強豪校の由希子の高校に、水着の売り込みのためにたびたび訪れていた。
「インストラクターもいいけれど、営業とか人に会える仕事も悪くないわよ」
由希子はどちらかという内気なタイプだった。
由希子の高校を担当した営業の女性はいかにもキャリアウーマンという雰囲気を漂わせていた。しかし、ギスギスしたタイプではなく、どちらかといえば可愛げのあるタイプだった。由希子はその女性の態度に憧れていたのだ。

由希子がM社の入社試験を受けたのはその夏だった。
面接した重役がたまたま水着担当だったことから由希子を覚えていた。
「うちはトップスイマーは歓迎ですよ」
試験は簡単に合格した。
希望は出したものの配属されたのは、営業ではなく競泳水着の開発を行う中央研究所水着開発課だった。もちろん、由希子は選手としての経験を買われたのだ。

水着開発課は5人の研究者と4人の女性スタッフ・・そして、課長で構成されていた。志望とは違っていたが、女性スタッフは皆明るいタイプで心地よかった。

由希子が入った時には「水着に突起物を付けて乱流を押さえる」が中心テーマだった。
既存の水着にプラスチック製の突起物を付けて水の流れの乱れを押さえ込むことだった。
課に入る時に5人の研究者を統括する研究チーフの田村に内容を説明されたが、由希子にはチンプンカンプンだった。

女性スタッフの仕事は研究員たちのデータを整理してパソコンに打ち込んだり、インタ−ネットや図書館で必要な資料を探してくることが主な仕事だったが、もう一つ重要な仕事があった。
それは試作されて水着を着用して実際に泳いでテストすることだった。
後でわかったことだが、由希子を含め4人の女性スタッフはみな水泳競技の経験者だった。

「課長って、前は野球の営業だったのよ。知ってた?」
女性スタッフ最年長25歳の明美が新素材で作られた水着を更衣室で試着しながら、由希子に言った。
「たまに飲むとイチローや松井と友達だって言っているでしょう」
「ええそうですね」
「ところが、ここのところアメリカのR社の攻勢が厳しくなって、いくつかの球団が採用したんだって、それで責任とらされて、まったく畑違いの水着開発に来たんだって。サラリーマンとしてはもう目がないわよね。かわいそう」
明美は女子体育短大の出身で自由形の選手。そのプロポーションは素晴らしかった。肌も色白できめこまかかった。
性格はモロに体育会系というか、さっぱりしている。
「さあ、いくわよ」

研究所には日本には何台もないスイムミル(水流プール)があった。
これはいわば水槽で水流をどのような状態でも作りだせる。
あらゆる条件で短時間にテストができるために、この機械がある。

明美は新素材水着のデータを取るために泳ぐことになっていた。
研究チーフの田村が出した条件を他の4人が手伝う形でデータを取っている。
もちろん、由希子ら女子スタッフもアシスタントとして加わっている。
「ビデオテープ、持ってきました」
由希子は田村に頼まれた記録用テープを持ってミルのある研究室に入った。
「ああ、アンダーくんに渡して」
田村は指示した。
「はい」
由希子は一番若い研究員の真崎にビデオテープを渡した。
「はい、真崎さん」
「ありがとう」
真崎は、若いといっても、もう30代に近い男だった。
風采が上がらないと言ったら言いすぎかもしれないが冴えない感じだった。
『アンダーくん』とはアンダーショーツの開発を担当していることもあるが「一番下」という意味もあると明美が教えてくれた。
「いくよ。町田くん」
研究員の一人がスイッチを入れると機械音と共に水が動き始めた。
明美が見事なクロールを始めた。

「よし、今日はこれくらいにしておこう」
田村が言った。明美がミルから出てきた。
「町田くん、ご苦労さま。明日からは高校生にお願いしてテストを続けることにしようか」
田村は言った。
「すいません。町田さん」
次席研究員、大里が町田に話しかけた。
「ちょっと、新しいゴーグルの形を試してみたいんですけど」
「いいですよ」
「わあ、助かった。営業企画からせっつかれていたもんで、本当に助かります」
水着開発部の目的は、もちろん競泳水着の開発だ。その他のアクセサリーは「補助的製品」とみなされ、研究者が独自のアイデアを出し、営業企画部などと話し合って作る体制なのだ。従ってアクセサリー類のテストは水着の時間以外に行われることが不文律をしてなっていた。

大里はゴーグル担当だった。
「あまり、町田くんを疲れさせすなよ」
田村が言った。
「はい」
大里はうれしそうだった。
「ああ、それからアンダーくん」
資料をもって引き上げる時に田村は真崎に声をかけた。
「はい」
真崎が答えた。
「大里くんが終わったら、那須さんのデータを取っておいてくれ」
「はい」
「えっ、私のデータ?」
由希子は言った。
「水泳の能力とか色々ですよ」
真崎が言った。

大里と明美のゴーグルのテストが終わった。
「ちょっと、速度があがってくると、きつい感じね。耳のところの素材を考えた方がいいかもしれませんね」
「そうですか」
大里は明美の言う言葉をメモした。

「さあ、かわいい新人さんのデータをとりましょうか」
明美が言った。
「じゃあ、部外者はこれで・・」
大里はそそくさと研究室を出ていった。
「私が見ていてあげるわよ。アンダーくんが襲わないようにね」
「・・・・」
真崎はその言葉を無視した。
「あのう、データって」
「そこのスイムミルで泳ぐのよ。あっ、でも水着なしでね」
「み・・水着なし!!」
由希子は水着なしといわれてあわてた。
全裸で泳いだことなどいままでなかった。
「裸で泳いだデータを基礎に、開発した水着がいいか悪いか判断するわけだから」
「は・・はい」
由希子は明美の言葉にしぶしぶ従った。
「水着いらないから更衣室へ行かないでもいいでしょう。そこで脱いじゃえ」
「でも・・・」
由希子はちらりと真崎を見た。
「平気、平気。彼はお医者と同じ。さあ、早く済ませましょう」
明美はそう、由希子に言うと今度は真崎の方を向いた。
「ストリーマー(小型の吹き流し)付ける」
「いいえ、あまり、ストリーマーは意味ないと思いますから。人間の身体って個人差が大きいので、むしろ、出てきたタイムを基準にした方が有効です」
真崎は冷静な口調で言った。由希子は、その口調に妙な安心感を覚えたと同時に自分にはない知性のようなものを感じた。
「そう、じゃあ“素体”でね」
「はい」
由希子はブラとパンティを脱ぐ時、真崎を見たが、真崎は由希子の方を向かず、計測用コンピューターの画面を見ていた。
水着をつけずスイミングキャップだけでスイムミルに入ると、自分がモルモットになったような気分になった。
外には明美と真崎がいる。
「じゃあ、始めます」
真崎の声がマイクを通して響いた。
水の中の由希子の前の水が動き始めた。
「4分間、泳いでみてください」
由希子はバタフライを始めた。
水はどんどん後ろに流れてゆく。
それに抵抗するように由希子の“素体”が立ち向かう。
押さえるべきものがまったくないために、とても泳ぎづらい。
大きめの乳房は激しく波うっている。
「はい、終了です」
真崎の声で、ちょうど4分で水流は止まった。
「はあ、はあ、はあ・・・」
スイムミルはかなりの運動量だ。
由希子は自分が全裸であるということを忘れていた。
「ああっ・・はあ、はあ」
スミムミルから上がりキャップを取ると由希子はその場で全裸のまま、仰向けになった。
右の脚がまだ、水の中だが、そんなことは気にならないくらい疲れていた。
大の字で寝そべると、外から由希子の局部・・いわゆる「オマンコ」が見えた。
使い込まれていないことを示すようにまだピンク色だった。
明美の声がスピーカーから響いた。
「那須さん、そんな格好だと丸見えよ!!」
そこで由希子は外の二人に自分の「オマンコ」が見られていることが初めてわかった。
「きゃあ!!」
由希子はあわてて立ち上がって、股間と胸を隠した。

由希子はスイムミルから出て、明美が用意してくれたタオルで身体を拭いて下着とM社のOL用制服を着けた。
髪をタオルで拭いている由希子に真崎が声をかけた。
「那須さん、すごくいいデータが出ましたよ」
「えっ」
由希子が意識するほどには、真崎は由希子の「女」を意識していなかった。
「ほら、このビデオ見てください」
由希子を横から撮った白黒の映像がディスプレーに出ていた。
その映像には縦と横の線が入っていた。
「那須さんの動きはバタフライでは理想的な動きですよね」
その映像を明美も見ていた。
「泳ぎの基礎が出来ているのよね」
「いやあ、むずかしいかもしれないけど、いつもこんな動きをしてくれれば、標準を探る苦労をしなくて済みますよ」
真崎と明美は、由希子の動きを絶賛している。
「いい人が入ってきてよかった」
真崎は言った。
そして、真崎は、由希子の方を向きなおした。
「那須さんはすばらしいスイマーですね」
高校時代、由希子はそんな言葉をかけてもらったことはなかった。
考えれば高校時代はタイムが伸びないままで終わった。
苦しいだけの思い出。
何度、競泳をやめようかと思った。
そんな思い出を引きずりながら社会人となったのに・・・。
『水泳をやっていてよかった』
そんな思いが心に広がった。
裸で泳いだという恥ずかしさは吹き飛んだ。
そして、それを言ってくれた真崎に感謝した。




第3章、風邪

「アンダ−くんが出てこないのよ。風邪って連絡があったわ」
全裸水泳でのデータ取りの翌日、由希子が出社すると明美がそう教えてくれた。
「えっ、真崎さんが・・」
細い身体の真崎は今にも倒れそうだが、本当に倒れたことはなかった。
「今日、帰りがけに真崎さんのアパートに行ってみます。一人暮らしなんでしょう」
独身の真崎が一人きりでのたうち回っている姿を想像した。
「そう、ずいぶん心配するのね。まあ、スッ裸の“素体”を見せた仲だものね」
真崎を心配する由希子を明美はからかった。
「違います」
由希子は口を尖らせた。

由希子は会社で調べた真崎の住所を尋ねた。
小さな古ぼけたアパートだった。
由希子がノックをする。
「はい、どなた?」
中からドテラにジャージ、マスクという姿の真崎が顔を出した。
「あっ、那須さん」
真崎は風邪声だった。
「平気ですか」
「うん、まあ」
突然の由希子の訪問に真崎は慌てている。
「ご飯、食べています?」
「うん、カツ丼でもとろうかと思っていたところで・・」
「そんなもの食べても風邪はよくなりませんよ。私が何か作ってあげますから・・」
由希子は押し入るように真崎の部屋に入った。
「まったく汚いわね」
由希子は素直に感想を言った。
ふとんを中心に本やら雑誌などが無造作に積んである。
由希子にはほとんど、内容がわからない流体力学の本だった。雑誌はコンピューター関係のものだった。
由希子は台所に立って、冷蔵庫の中からありあわせの材料で卵ぞうすいを作った。
「出来たわよ。真崎さん」
真崎はふとんから起きだしてきた。
由希子は洗ったばかりのどんぶりに半分くらい、卵ぞうすいを入れた。
「少しづつ食べてくださいね」
「那須さんって料理うまいんだね」
真崎は由希子の作った卵ぞうすいを食べながらいった。
「合宿生活だったから自然にできるようになったんです」
由希子はしばらく真崎が卵ぞうすいを食べるのを見ていた。
「たまに来て、作ってげるね」
由希子は素直な気持ちを言葉にした。自分でも思ってもみないことだった。
「うん、うれしいな」
真崎は言った。
その言葉を聞いて由希子はなぜか顔を赤らめた。
「どうしたの。まさか、僕の風邪がうつったのかな」
「ううん、ぞうすいつくったから暑くなっただけ」
2人の言葉に間に少し間があった。
真崎はじっと由希子の目を覗き込んだ。
由希子は恥ずかしさはあったが、その視線をはずす気にはならなかった。
なぜか「那須さんはすばらしいスイマーですね」と言った真崎の言葉を思い出した。
「あっ」
その瞬間、真崎の唇が由希子の唇に触れた。
由希子は自然と身体を真崎に近づけた。
競技選手としての時間を送ってきた由希子にとっては、生まれて初めての異性とのキスだった。
「か・・風邪、移っちゃう・・」
キスの終わりの言葉は拒否ではなかった。

風邪がきっかけで、由希子と真崎はデートをするようになった。
そして、由希子の恋がセックスを伴った愛に変わるのに時間はいらなかった。
一番最初に身体が触れ合ったのは実験プールの更衣室だった。
実験のために着ていた新素材の水着を脱いだ由希子に真崎が「襲いかかった」のだ。
最初はびっくりした。
脱いだ水着を取り上げて「裸の由希子が好き」といった真崎はまるで子供だった。
「裸のどこが好きなの」
由希子は言うと「ここ」と真崎は由希子の股間の谷間に指を突っ込んできた。
「イヤン」
由希子は否定ではない甘いうめき声を上げた。
すると真崎は「由希子が好きだ」と言ってシャツとズボンを脱いだ。
真崎の脚の谷には屹立した男のシンボルがあった。
「ここに寝て・・」
真崎は更衣室のベンチを指さした。
横たわった由希子の肢体はまだ、プールの水で濡れていた。
少し震えていた。水の寒さのせいばかりではなかった。
由希子の身体は男を迎え入れたことがなかった。
真崎はおおいかぶさり、由希子にキスをした。
長いキスだった。
由希子は人に見られるかもしれない更衣室での恥技のせいか、すでに身体の奥が濡れていた。
真崎の両手が、発達した由希子の両の乳房を鷲掴みにして揉んでいた。
由希子の乳房にはまだ芯が残っていた。
少女の名残りだった。
「ああっ」
真崎に乳房を揉まれた由希子は濡れ切っていた。
「し・・仕留めて・・」
由希子は自分が猫に追い込まれた鼠のように思えて、その言葉を使った。
「し・・仕留めてったら・・」
大きく膨れた男のシンボルに自分の身体を突きつらぬかれたい。
己の欲望をはっきり頭で自覚した。
「よし、入れるよ」
真崎は態勢を建て直して、自分の男根を由希子の谷間に押しつけた。
「キュ」という音がした
「由希子・・入りにくい」
真崎の『男』が侵入した時には、頭が抜けるような痛さだった。
股間が裂けるようだった。
生暖かい液が太股に流れた。
血も滲んだかもしれない。
一方でその頭の一部に風が吹いてるような明解な意識が残っている。
高校時代、同級生から一生懸命にスポーツをやると尻の筋肉が締まってくると言われたことがある。
「ついでにアソコまで締まるから男の人が喜ぶんだってさ」
同級生は言った。
初めて男を迎え入れ、処女を喪失したはずなのに、そんな言葉を思い出すなんて・・。 なぜか、思いだし笑いがこぼれた。
「なぜ、笑っているの・・・うれしいの」
笑みを浮かべている由希子に向かって真崎が言った。
身体はむしろ痛みを感じているが身体と意識は別物だった。
「痛いよ」
「えっ」
真崎は理解できないようだった。




第4章、更衣室での秘儀

深夜の研究用プールでのセックスの後、疲れた身体を引きずって由希子は更衣室に入った。
真崎も一緒に女子更衣室の中に入ってきた。
いや、押し入ってきたという感じだった。
「あっ、ここ、男子禁制ですよ」
由希子は言った。
本気ではないことが言葉の調子でわかる。
「かたいこと言うなよ」
真崎は由希子の後ろに回って、由希子の豊かな乳房を揉み始めた。
「ああん、バカあん」
「『ジーワン』着てよ」
『ジーワン』とはM社が開発中の競泳水着のコードネームだった。明美を始め女性スタッフ全員でテストしている。
「変な使い方したらばれるよ」
「かまうもんか。何10着もあるんだから・・・」
由希子は『ジーワン』を全裸の“素体”に着けた。
さすがに元水泳選手だけあって競泳水着がよく似合っていた。
『ジーワン』は身体を締めてプロポーションを整える機能があった。
しかし、一方で「薄すぎる」という欠点もあった。
まるでストッキングを身にまとっているようだった。
今は、その色合いを変えることで「透ける」ことを抑える研究がされていた。
由希子は身につけた『ジーワン』は一番透けるといわれる薄いレッドのものだった。
真崎は用意したローションを手に塗っている。
「これ、たっぷり塗るといいよ」
真崎はローションの瓶をさかさまにして由希子の『ジーワン』の中に流し込んだ。
「ああん」
『ジーワン』の中でローションが広がった。そして、その広がったローションはさらに股間に流れ落ちた
。 「今度は上から」
真崎はローションを由希子の『ジーワン』の表面に塗りはじめた。
「いつもこうなんだからあ」
ほどなく、由希子は身体全身を光らせる状態になった。
ぬめぬめとしたローションが元競泳選手の肉体をピカピカに光らせている。
「ああっ」
裸同然の肉体にローション・・その身体を真崎は後ろから抱きしめた。
そして、自分の唇で由希子の唇を塞いだ。
「由希子、かわいいよ」
真崎はキスを楽しんだ後に言った。
プールでさんざん射精したはずなのに、もう男根はきつく勃起している。
真崎は素地となる繊維がきめ細かくストッキングのような『ジーワン』の布ごしに由希子の乳房を揉んだ。
乳首はすっかり勃起し石のように固くなっている。
「ああっ・・ああっ・・いい」
由希子は再び喜悦の声を上げる。
「今度はう・・後ろ・・」
真崎は右手を由希子の股間に下ろし、そこをきつくV字に包んでいる布を一本の線にするまで絞り上げた。
女子高校生の選手たちがやる「超ハイレグ」のいだずらだ。
「ああん、ヤ・メ・テ・・・」
区切りながら言う言葉に否定の意味はない。
真崎は一本に絞った股間の布を左右に揺らして、由希子の谷間からはみ出している襞を弾いた。
「また、裏地を取ったな」
真崎は諌めるように言った。
「だって、タイムが上がるんだもの」
襞のはみ出しから汗ではない液が溢れはじめている。
『ジーワン』の胸の部分から透けて見える由希子の乳首は、これ以上は勃たないくらいに固くなり天を指している。
「もう、いいでしょう。仕留めてよ」
「仕留めるって?」
真崎はわざと言った。
「バカ・・」
「はっきり言ってみろよ。どうするの」
真崎は小指で『ジーワン』の股間の布を押さえながら、右手の人指し指と中指を由希子の襞の奥に打ち込んだ。
その指は由希子の洞の中を這いずり回り始めた。
「はああん」
由希子はそれだけでも感じた。
「どうするの、由希子さん」
「お・・お・・おちんちんを」
「えっ、おちんちんがどうかしたの」
「おち・・おちんちんを・・・打ち込んで・・」
由希子は禁断の言葉に真っ赤だった。
「どう、打ち込むんだよ」
「『ジーワン』の・・」
その言葉を聞いて真崎は由希子自身に打ち込んだ2本の指を開いた。
その指を伝って由希子の愛液が流れだし、真崎の手のひらに落ちた。
「入れてよ・・入れて!!」
由希子はもうたまらないといった口調だった。
「『ジーワン』の股間からおちんちんを入れて!!打ち込んで!!」
由希子はいったん、真崎の「責め」から逃れて更衣室のプラスチックのベンチに仰向けになった。
「はやくう」
由希子は言った。
真崎の緊縛から逃れたことで由希子の身体を包んだ『ジーワン』は元の形に戻っている。 しかし、由希子の身体はすっかりセックスをする態勢になっていた。
「いま、入れてやる」
きつく勃起した真崎の男根が一気に由希子の股間を襲った。
「はああん、ちょ・・ちょうだい」
由希子の股間に真崎の男根と一緒に『ジーワン』の生地が打ち込まれた。
「し・・信じられない。なんでこんなに伸びるのよ」
由希子は『ジーワン』の生地が膣の壁に接触しているのを感じて言った。
「はあ・・コンドームの代わり」
真崎は呻いた。
「あっ・・ああん。・・な・・中で出して・・出してよ!!・・中にちょうだい!!」 由希子は仰け反ったまま叫んだ。
「ぐうあ」
次の瞬間、真崎は射精してしまった。




第5章、「身体目当て」

研究所での「秘密の遊び」をした翌日、由希子は久しぶりに高校時代のクラブ仲間、朋子にあった。
居酒屋で飲む約束をしたのだ。
由希子は就職したが、朋子は女子体育大学に進学していた。
「この前、裕一と別れちゃってさ」
裕一というのは朋子のボーイフレンドだった。
新人歓迎のコンパで知り合ったW大水泳部の男の子だった。
由希子にも紹介しており交際は順調に進んでいるように見えた。
「あいつ、一緒にバイト先のスイミングスクールで泳いでいたら、いきなり、水着脱がせようとするのよ」
「それで」
由希子は言った。
「水中セックスしたいって言ってね」
由希子は「水中セックス」という言葉にドキリとした。
昨日、研究用プールでの真崎との出来事が頭をかすめた。
「あいつ、私の身体さんざん欲しがったのよ」
「それで」
「で、聞いてみたのよ。あんた、私のどこが好きって」
「答えは」
「身体だって答えた。女子競泳選手の身体を抱きたいんだって。アタマくるわね」
「・・・」
「性格じゃなくてカ・ラ・ダ・・これが裕一の答え。だから、別れたのよ」
由希子は自分のどこが好きかと真崎に問いかけたことはなかった。
「要はコスプレと同じ。ほら、セーラー服の高校生が好きとか、スチュワーデスが好きとか、女の表面しか、見ていない男っているでしょう。裕一もそれと同じ。競泳選手の逞しい身体が好きだっただけなのよ」
「・・・・」
「身体目当てでつきあっていたのよ。カ・ラ・ダ・目当て。世間にはそういう男もいるのよ。あんたも気をつけなさいよ」
由希子に「カ・ラ・ダ・目当て」という言葉が妙に突き刺さった。




第6章、シャワー室

由希子はテストを終えて女子更衣室に入り中から鍵をした。
この更衣室にはシュワー室がついており、テストを終えるとそこで身体を温めていいことになっている。
勤務時間中に風呂に入れるのは水着開発課の女の子の特権といってよかった。
テストに使った『ジーワン』を脱いでハンガーにかけた。
『ジーワン』は貴重なサンプルだ。
大切に扱って欲しいと研究チーフのにいわれていた。
シャワーの栓をひねって熱い湯が出始めた時、由希子の後ろでカチャという音がした。
「あら」
由希子の視界に入ったのは真崎だった。
「ダメですよ!! 入ちゃあ!!」
不安はないもののいきなり男が入ってきたため、びっくりした。
「ここのところ、遊んでいなかったよね」
真崎はドアに鍵をかけた。
「誰か来るよ」
裸のままの由希子は言った。
「由希子は鍵を持っているだろう。俺はマスターキーを持っているんだぜ。今、誰もここには入ってこれないんだよ」
真崎の目は由希子と「したい」と言っている。真崎は着ていたブルーの作業服を脱いで裸になった。
もう、男根が勃起している。
「一緒にシャワー浴びようよ」
真崎は甘えた口調で言った。
「ダメ」
由希子も甘えた口調で返した。
否定どころか誘っているような感じだった。
「シャワーの中で女子競泳選手の身体を“点検”したいな」
“点検”という言葉は淫靡だった。
真崎は後ろに回り込んで、水の流れに沿って、由希子の首筋から背中、そして腰へ両手を滑らせた。
「競泳選手の筋肉だね」
「ああん、恥ずかしい・・・」
由希子の背中の筋肉は十分すぎるくらいに発達していた。
バタフライの選手として当然なことだが、女としては恥ずかしかった。
「ここはどうかな」
真崎は今度は後ろから両の乳房を鷲掴みにした。
「ああん、バカあ」
「まだ、ふくらみ始めの女子高校生みたいに芯が残っているのかな」
真崎の人差し指と中指が由希子の豊かな乳房に先端にある肉の突起をまさぐっている。
「はああん」
シャワーの温水は由希子の身体の曲線に沿って上から下へと流れ落ちている。
突起はピンと立ち上がってきた。
由希子は腰のあたりに別の体温を持った肉の棒を感じた。
「ああん、もう、こんなになってる・・う」
由希子は呻いた。
「ほしいんだろう」
真崎は無慈悲に言い放った。
由希子はその「男のむごさ」も真崎の魅力だと思った。
真崎はセックスしている時と普通の時の落差が大きかった。
由希子は、その真崎に処女を奪われセックスを仕込まれつつあった。
その真崎に本当の顔を見られる喜びとマゾヒステックな喜びが交錯していた。
真崎は無言で自分の男根を由希子のシャワーで濡れた肉体に「突っ込んだ」
「ああ・・・ん」
股間に別の体温の異物が挿入された瞬間、由希子は声を上げた。
さらに温かい湯が由希子の身体を流れ落ちる。
「ぐっ」
真崎は1回、突き上げた。
それに応じて由希子の身体が上下に揺れた。
大きめの乳房も震えた。
「も・・っと、突いて」
「なに、聞こえない。もう一度、言ってよ」
真崎は由希子の声がはっきりと聞こえているはずだった。
でも、聞こえないフリをしている。
そして、女として・・いや、19歳のまだ少女の匂いと面影を持つ女性として「降伏」の言葉をもう一度言わせたがっている。
「ああん、突いて・・貫いて」
由希子は真崎の「異物」を押さえ込んだ場所・・子宮から熱を感じている。
シャワーの流れは由希子の肌を流れている。
すべてが「水」に帰す。
そんな感覚を覚えている。
真崎は一旦、腰を引いた。
そして、一気に腰を由希子に押し込んだ。
「ひ・・い・・痛い」
水で十分に出ているはずの愛液が流れてしまったのだ。
しかし、真崎は構わなかった。
その細い弱々しそうな身体からは信じられない力があった。
男は欲望によって思いもえない力を出せる。
その力・・突き上げる力が内蔵まで届いた。
次の瞬間、頭が空白となった。
「あ・・愛してる・・う」
「ああ」
二人が交わした人間の会話はそれだけだった。
二人はシャワーの雨の中に崩れ落ちた。
水の中で『獣』になった。
「ご・・」
真崎は、過去にこれほど出たことはないというほど大量に精液を、完成された筋肉を持つ女・・女子競泳選手の中に射精した。
接合がはずれた後も真崎の筒先からは液が数回、吹き出していた。
由希子は「ああっ」「ああっ」というだけだった。
生まれて始めて体験した「小さな死」・・「エクスタシー」だった。
「由希子の身体・・最高だよ」
由希子は、その言葉に薄れいく意識の中で喜びとわずかな不安が交錯していた。




第7章、アンダーショーツ

「那須さん、明日、第2研究室につきあってくれる」
恋人となった今でも、真崎は開発課では由希子のことを「那須さん」と呼んでいる。
「実は各社のアンダーショーツが揃ったんでインプレッションを頼みたいんだけど・・」
「はい、いいですよ」
「そう、じゃあ4時に」
真崎は研究室を出ていった。
「アンダーのインプレッションって実際に穿いてみるってことでしょう」
明美が由希子に聞いた。
「はい」
「二人っきりでやって平気? 私がついていこうか」
「平気ですよ。もう、真崎さんには全部見せちゃったんですから」
本当は内蔵の奥までのことだった。
しかし、明美は「データ取り」のことと誤解している。
「ああ、そうか」
明美は笑った。

翌日、真崎は第2研究室に居た。
第2研究室のコーナーに周りを衝立で囲んだ一角を作っていた。
M社OLの制服姿の由希子は4時きっかりに部屋にやってきた。
「じゃあ、始めるよ、こっちへ来て」
「ねえ、始めにキスして・・」
由希子は甘えてみせた。
「ダメだ。遊びじゃなんだ。あさってまでに、レポート出さなきゃいけないんだ。手早くやるぞ」
言葉には真剣味があった。
「はい、はい」
衝立の中にはかごがあり、その外のテーブルには黒いクロスが引かれていた。
その上に各社が発売している水泳用アンダーがラベルを付けて置かれてあった。
由希子は水着用のアンダーを着けて競技に出たことがなかった。
タイムを出すことがすべての競泳水着ではそんなものは必要もない。
スッ裸の“素体”に競泳水着一枚だけなのだ。
由希子が来る前に真崎がアンダーの外観を撮影していた。
中にはアメリカやフランスの社名が入ったものもある。
「それじゃあ、1番から順に穿いて、カメラの前に立って」
「写真を撮るの」
「そう、下だけでいいから脱いで。穿いたら、まずテープに印象を吹き込んで、次に写真撮る。それが終わったら次を穿いて・・」
真崎は言った。
由希子はM社OLの制服のスカートだけを脱いだ。そしてストッキングを取ってパンティだけになった。
上だけOLの制服で下はパンティだけというのはかなり間抜けな格好だった。
「上も脱いでいい。ブラウスたくし上げるのめんどうだから」
「どうぞ」
真崎の言葉はややケンを含んでいる。早く作業を始めたいという気持ちが滲みだしている。
制服のベストとブラウスを脱いで白いブラジャー一枚になった。
豊かな競泳選手の乳房がブラを突き上げている。
「このブラ、フランス製なのよ」
「・・・」
真崎はまったく答えないでカメラの準備をしている。
「じゃあ1番から・・」
1番から3番は普通のローレグでベージュのスイムサポーターだった。
4番が黒いサポーターだった。
「2番、結構、柔らかい」
「4番、素材が固い」
由希子は感想をテープに吹き込み、その後、真崎のカメラの前に立った。
写真は正面、左右のサイド、後ろの4カット。
時折、真崎が位置を変えて撮ることもあった。
5番からはハイレグとなった。
「5番、素材は柔らか、ハイレグで臀部への食い込みがきつい」
「6番、ハイレグでサポート力強い」
7番からTバックだった。
こんなものを穿いて人前に出たことないな・・由希子がそう思った瞬間、強い羞恥心が心に差し込んできた。
「7番・・7番、前布のサポート力強し」
言いおわって、真崎のカメラの前に立った。
「ねえ、後ろ、撮るの」
「当たり前だろう。後ろのスタイルも大切なんだから」
「お尻が見えて、恥ずかしい」
由希子は小声で言った。
真崎には聞こえていないようだった。
Tバックが3枚続いた。
10番・・。
それを手にとって由希子はびっくりした子供の手の平ほどの布切れにTの字のヒモが付いているだけだ。フランス製らしい。
「こ・・こんなの穿くの」
由希子は、そのアンダーを左右にひっぱって繊維の柔軟性を確認しながら言った。
「こんなの穿いてブレスト(平泳ぎ)したら食い込んじゃう」
「はやく穿いて」
真崎は由希子の言葉を無視した。
由希子は仕方なくそのTストラップを穿いた。
本当に前布は由希子の女の谷間を隠すのが精一杯だった。
由希子は自分の下腹部に張り付いている布きれを引き上げてみたがなかなかうまくいかない。いや、これ以上、下がったら由希子の谷間の上の部分が露出する。
ストラップが肛門を撫でている。
「10番。凄く前布が小さい・・性・・性器を隠すのが精一杯」
次に由希子は器用に小さな前布を拡げた。
「ねえ、聞きたいんだけど・・。なんで私を好きになったの」
前布を拡げながら由希子は言った。
しかし、真崎は無視した。
「早くカメラの前に立って!! なに、ぐずぐずやってるんだ。今日中に終わらせないと明日までにレポート提出できないんだよ」
真崎は無慈悲に言った。
「早く質問に答えてよ!!」
由希子はいきなり怒りだした。
「なんだ、いきなり」
真崎はびっくりした。
答えを出さない真崎に態度に朋子の話を思い出した。
「カ・ラ・ダ・目当て」
その言葉が頭の中に響いた。
「身体が目当てなんでしょう?」
「身体目当て・・?」
「そうなんだ。やっぱり、身体が目当てなんだ。セックスしたいから私を選んだんでしょう」
真崎はいらだちとうんざりが交錯した表情で言った。
「そうだよ、そうだよ。由希子の身体が目当てだよ。わかったら、早くカメラの前に立てよ」
「もう、いや!!」
由希子は言った。真崎は意外な反撃にびっくりした。
「女が好きでもない人に裸の身体を見せるのはイヤなの!!」
「おい、なに言っているんだよ。仕事だろう」
「フンドシみたいなショーツを着けるなんてイヤ!!」
由希子は、ブラウスとスカートを着けて外に飛び出していった。




第8章、火事

アンダーショーツ事件があった数日後、由希子は研究所の中庭に弁当を広げていた。
明美が近づいてきて、脇に座った。
「近頃、アンダーショーツ開発のMN班はどうしたの」
「MN班・・って何ですか」
「あら、知らないの。真崎・那須班よ」
「えっ」
由希子はびっくりした。
「カップルって言葉に出さなくてもわかるものよ」
「・・・・」
返す言葉もなかった。
「田村チーフや課長どころか。そんなことには関心なさそうな大町さんまで知っているわよ」
「それがこの頃、変だってみんな噂しているわよ」
研究所というのは狭い世界だ。
人間関係の狭い世界では、誰かの行動はちゃんと別の人が見ているものだ。
まして、色恋沙汰と人事関係は共通の関心だった。
そんな話題には由希子も率先して参加している。
自分たちだけが例外と思う方がどうかしている、と明美の言葉で由希子は悟った。
「町田さん。実は・・」
由希子は明美にこれまでの経緯(いきさつ)を告白した。
もちろん、実験プールでの水中セックスの件は言わなかった。
あまりにも恥ずかしい・・競泳選手としては恥ずかしい体験だったからだ。
「かわいい!!」
明美は言った。
「フンドシ穿かされて、頭に血がのぼちゃったのね」
「・・・」
由希子は下を向いていた。
「からかっちゃあ悪いわね。それでは恋のドクター、町田明美先生が処方箋を出してあげましょう」
「処方箋?」
「こんなことは恋人同士ならよくあること。確かに営業企画から新型アンダー開発の件でアンダーくんに催促があったことは事実だし、それでさすがのマイペースマン、真崎くんもあせっていたのよ」
「・・・」
「結論から言ってあげるわね。アンダーくんにはあなた以外に恋人はいません。正確にいうと不器用だから恋人ができにくいんじゃないのかな」
「そうなんですか・・」
「そんな不器用なマイペース人間が、身体目当てに自分の身近にいる娘とエッチして身体だけ『食べる』はずはありません」
「・・・・」
明美に言われてもまだ、由希子の心に不安の雲があった。
「ふふっ、あのね、一ついいこと教えてあげるわ」
「いいことって・・」
「あなたが初めてミルで全裸で泳いだビデオ。昨日、アンダーくんが廃棄しようとしたのよ。『データだけでいいです』とかなんとか言って。私のビデオなんかブレストを後ろから撮って肛門まで丸出しのを残しているくせにね」
「えっ」
「なんで、那須さんだけ特別扱いするのって怒ったら、ならいいですとか言い逃れしちゃってさ。自分の好きな娘の裸をみんなに見せたくなかったのね」
由希子の心の中の『氷』が音をたてて崩れていった。
「まあ、明日でもごめんなさいとか言えば、問題解決ね」
その言葉が終わろうとした瞬間、遠くで花火が破裂したような音がした。
「きゃあ」
音のした方で女性の悲鳴がした。
「大変だ。第3研究棟で火事だ!!」
「火元は繊維素材実験室だ。自衛消防隊に連絡しろ!!」
由希子と明美も立ち上がっていた。その前を警備員が消火器を持って走っていった。
「繊維素材実験室って、今うちの班が使っている」
明美は思い出したように言った。
「ま・・まさか・・真崎さん」
言葉が終わらないうちに由希子はかけだした。
「那須さん。待ちなさい!!」
由希子には明美の言葉が聞こえなかった。

由希子が駆けつけた時にはプレハブの第3研究棟の2階から白煙が上がっていた。
「中にまだ人が入っているんだ!!」
「煙がすごくて入れませんよ!!」
警備員と研究所スタッフが怒鳴り合っていた。
由希子は芝生に転がっていた懐中電灯を握って第3研究棟に飛び込んだ。
「きみ、危ない!!」
警備員が叫んだが由希子は無視した。
「真崎さん、どこよ」
由希子は2階に上がった。
最初薄かったと思った白煙は激しくなっている。
「真崎さん!!」
由希子は繊維素材実験室の入口に作業着姿の男が倒れているのを見つけた。
真崎とすぐにわかった。
「真崎さん、しっかりしてよ」
「ううん」
煙を吸って真崎は動けなくなっている。
由希子は自分の持てる力すべてを使って、真崎を背中に背負った。
真崎の身体はかなり重かったがそんなことは気にならなかった。
「真崎さんが死んじゃう」
由希子のまわりに煙が充満してきた。
「いくよ」
そう思うと由希子は歩み始めた。
後のことはわからなかった。

由希子が気がついたのは病院のベッドの上だった。
初めて視界の中に見えたのは真崎だった。
「ああっ、気が付いたみたいね」
声は明美だった。
「気が付けば大丈夫って先生は言っていたわ。それじゃあ、会社に連絡してくる」
明美は病室を出ていった。
「バカ・・バカ・・なんで、俺なんか助けたんだよ」
真崎は泣いていた。
「お前が・・お前が死んだら・・卵ぞうすい、作ってくれる人がいなくなるじゃないか」
由希子は鼻のあたりにくすぐったさを感じていた。




最終章、愛と水

由希子は研究所内にある試験用と厚生施設を兼ねたプールで泳いでいた。
真崎は水着とTシャツを着け、プールサイドでタイムをとっていた。
50メートルのプールを8往復してタイムを取るのだ。
「はい、おしまい」
由希子はプールを上がった。
由希子の水着はあの『ジーワン』だった。
しかし、真崎との性交に使った『ジーワン』とは少し違っていた。
より薄い。
ストッキングより薄く、伸びが少ない素材で作ってあるタイプだった。
市販されるものではなく、女子選手の筋肉の動きを見るためのいわば「プロトタイプ」だった。
その「プロトタイプ」は、競泳選手の身体に極限まで密着し、身体を締めつけている。
女子社員の間では「丸透け水着」と言われている。
明美にいわせると「ほとんどまっ裸の水着」だった。
「こんなで泳ぐようになったら、水泳会場もストリップ並みに撮影禁止だな」と言ったのは大里だった。
「えっ、なんで大里さん、ストリップショ−が撮影禁止って知ってるの」
明美の鋭い突っ込みで大里のストリップ通いがバレたというエピソード付きの水着でもある。
その「ほとんどまっ裸の水着」を着けて深夜のプールで由希子は泳いでいた。
「はあ、はあ」
由希子は息が上がりかけていた。
「なかなか、いいタイムだったよ」
由希子は社内のインストラクター資格試験を受けるために近頃、選手時代と同じように練習を始めたのだ。それに真崎もつきあっている。
息を整える由希子は真崎に言った。
「ターンの時、見えちゃったでしょう」
確かに「ほとんどまっ裸の水着」で股布がなければターンの時に股間の穴たちが見えても仕方なかった。いや、仕方なくではなかった。
由希子は真崎を挑発するために極薄の競泳水着を着け、その股から「オマンコをチラリ」と見せていたのだ。
計8回もそれ・・・「オマンコをチラリ」と見せられては、真崎も勃たないわけにはいかなかった。穿いている競泳水着の前がパンパンだった。
由希子は新型ジーワンの肩ストラップに手をかけた。
そして、上半身から『ジーワン』を剥がした。
大きく形のいい乳房が生の形のまま露出した。
「本当の極限の競泳水着見せてあげる」
そういうと由希子は乳房丸出しのまま立ち上がってバッグのある場所まで行って、手に何かを持って戻ってきた。
そしてプロトタイプ『ジーワン』を全部、脱いだ。
「これが本当の極限水着よ」
由希子は持ってきた小さな布を真崎の目の前で穿いた。
それは、あの喧嘩の原因になった「ヒモフンドシ」だった。
「追いついてよ」
由希子は「ヒモフンドシ」だけのほとんど全裸の身体を空中に躍らせて、再び水の中に飛び込んだ。
「待てよ」
続いてTシャツを脱いで真崎も飛び込む。
由希子がバタフライであっという間に50メートルを泳ぎ切った。
由希子を追って真崎は平泳ぎで泳いでくるが、まだ由希子まで10メートルはある。
「早く」
由希子は一旦、プールサイドに腰掛けて、真崎を待った。
「早くう」
少し甘えが入った声を由希子は出してみせた。
そして、ヒモが入り込む股間を少し拡げてみせた。
由希子の股間は本当に小さなベージュの布があるだけだった。
「えいっ」
真崎がやっとプールサイドに近づくと由希子は足で真崎の顔面に水をかけた。
真崎は反撃に出た。
「このいたずら娘!!」
真崎は動いている由希子の右脚を捕まえた。
「この・・」
そして、思い切ってその脚を引っ張った。
「きゃあ」
由希子は水の中に落ちた、そして、真崎に抱きついた。
「このいたずら娘め・・今度はこっちの番だぞ」
真崎はいったん由希子を突き放した。
真崎は水着を脱いで全裸になった。
男根がすでに完全に勃起していた。
そして、由希子を捕まえて、その豊かな乳房の突先にある乳頭をしゃぶった。
「ああん、そこ、感じるんだから・・・」
由希子の乳頭は完全に勃起していた。
「裸に・・スッ裸にして・・」
「ううん」
勃起した真崎の男根が由希子の股間あたりをまさぐり出していた。
「アンダーを脱がして・・・」
そういうと由希子は水の中に潜った。
真崎も潜って由希子を追った。
そして、真崎は由希子を水中で捕らえて、腰に走っている最後のヒモを取りはらった。
由希子は自分の望む通りに全裸になった。
さらに真崎は由希子の腰を捉え、仰向けにした。
そして、自分のエネルギー・・男のエネルギーが漲った男根を由希子の中に侵入させた。
真崎の男根は由希子の股間の穴を完全に『占拠』している。
2人は「繋がった」まま浮上した。
「ああっ、由希子・・由希子・・由希子」
真崎はピストン運動にあわせて由希子の名前を呼んでいた。
由希子の右の乳房の隣には脱がされたアンダーが浮いていた。
望み通りにスッ裸で真崎を迎え入れた由希子は今、再び愛と水に抱かれていた。

(了)

based character & story by amenbo-san
story written by puchity

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