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髪をまとめ“おだんご”にした亜紀の頭の上にクラブ(こん棒)が1本落ちてきた。 「きゃあ」 「なにやってんの!!」 悲鳴と怒号が交錯する。 名古屋郊外にある聖桜乃薗女子学院高校の新体操専用体育館で、レオタードにスパッツ姿の少女が練習している。その少女、桂木亜紀にはコーチの明美がつきっきりになっている。 亜紀は3年生。個人戦の正選手としてインターハイに出場する。そのために懸命の練習が続いていた。 亜紀は、バイオリニストの諏訪内晶子に似た清楚な美少女。一方、明美は松島奈々子のような上品な女子大生だった。 「集中力がないのよ。集中力が・・」 明美はいらだちを隠さない。 昨年、明美は聖桜乃薗女子学院高校の選手として初めて、強豪がひしめき合う県大会を制して全国大会まで行き、ついに優勝した。今は東京の女子体育大学で新体操をやっている。今年も後輩の亜紀が県大会を制し、インターハイに出場することから、明美は特別コーチとなり、夏休みの期間教えに来ているのだ。 しかし、有望選手のはずの亜紀の演技は、正確さを欠き始めている。 「なんとかならないの。亜紀」 「はい」 あせりがあるのだろうと明美は思った。 「じゃあ、汗を拭いて。上がりなさい」 亜紀はホッとした表情だった。時間ももう夜の7時を回っていた。 「明日、試合用のレオタードが届くから、ちょっと着けてみようよ」 明美は言った。 「えっ」 亜紀の表情が明るくなった。新調のレオタードを着ければ気分が変わるかもしれない、と明美は思ったのだ。 「で、これ渡しておくわ」 明美はビニール袋に入った布と小さな紙袋を亜紀に手渡した。 「これなんですか」 「専用のアンダーよ。去年は私も着けたわ。これで新しい試合用レオタードを着けるのよ。試しておいてね」 「はい」 亜紀は言った。 |
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「ただいま」
亜紀が自宅に戻ったのはもう9時近くだった。 「あら、今日も遅いわね」 母親が心配そうに言った。 「しかたないよ。大会近いんだから・・」 「食事はどうするの。また果物だけ」 「うん」 亜紀はそういうと着替えのため、2階の自分の部屋に行った。 2階の部屋に入るとかばんを投げ出して、夏制服のネクタイを取った。ふと見るとカバンから学校で明美から手渡されたビニール袋がのぞいている。 「レオタードのアンダーだっけ・・」 亜紀は、いままで試合の時は普通のパンティをレオタードの下に縫い付けていた。ブラも普通のものを使っている。 明美は「勝つためにユニフォームのデザインも考える」と言っていた。「世界大会に出たって恥ずかしくないものを揃える」とも言っており、とりあえずクラブ、リボン、ループ(輪)、なわ、ボールの種目別に5枚ものレオタードを準備してくれることになっていた。亜紀専用にもかかわらず、学校の経費として数万円を出してくれるように、明美が学校側と交渉してくれたのだ。 「ここまでやるんだからがんばりなさいよ」 亜紀は明美の言葉を思い出しながら、そのビニール袋を開いてみた。中には、2枚の小さな布と紙袋があった。 「ずいぶん、小さいわね」 亜紀はその小さな布を開いてみた。 顔が真っ赤になった。 「な・・なによ、これ。完全なヒモパンじゃないの!!」 その布は小さな前布に後ろは紐だった。そういえば大会などで、明美が演技の合間にレオタードを着替えるとチラリとTバックのヒモパンが見えたのを思い出した。 食事を終えて亜紀は風呂に入ることにした。 「みんなもう終わっているから。ちゃんと風呂場はかたづけて出てくるのよ。かあさん、もう寝るから」 母親は寝室へいくようだった。亜紀は小さな布と紙袋を持って風呂場に言った。自分の部屋でそれを穿くことははばかられるような下着だった。亜紀は水着でもビキニどころかセパレーツすら着けたことはない。 風呂場の隣にある脱衣所に入った亜紀はブラとパンティを脱いでそのTバックのアンダーを穿いてみた。 「ほ・・ほとんど、裸じゃないの」 下腹部をわずかに覆う三角の柔らかい布とヒモで出来たバック。三角布の中にラベルがあり『プチッティ』とあった。製品名らしい。 「何も身につけていないみたい」 軽い感じのわりには股間がアコーディオン式で柔らかく性器を包み込んでいる。袋の中にチラシが入っていた。 「この製品は後ヒモ式のスポーツ用ショーツです。体操、新体操、バレエなど表現スポーツやダンスなどにお使いください。アウターにまったくひびきません」と書いてあった。 「こっちは何?」 封筒状になっている紙袋を開けてみると肌色の丸い絆創膏が出てきた。乳首に貼って、その突起を隠すニップレスだった。ニップレスの存在は亜紀も知っていた。 亜紀は後ろに貼ってある紙をはずして、2つの自分の乳首にその絆創膏を貼ってみた。 明美に試しておけと言われた通りに、亜紀は乳首をニップレスで隠し『プチッティ』を穿いて脱衣所の鏡の前でくるりと一回転してみた。亜紀の顔は紅潮していた。 考えようによってはあまりに恥ずかしい格好だった。ちょっとHなテレビ番組で見たヌードダンサーのようだと思った。性器を隠す布をヒモで吊っただけのようにも思えた。ニップレスも結局のところ、先を隠すだけで、乳房を支えるものはなかった。スッ裸と言ってもいいような格好だった。 「みんな、本当にこんなの穿いているのかな」 亜紀は本番でもこれを穿くのかと逡巡した。 |
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「それ、タンタン・・ターン」 翌日も明美の指導は厳しく続いていた。リボンの操作と身体の動きがついていかない。明美の指導はそこに集中した。 「ダメ、ダメ、ダメ!!」 汗だらけになっている亜紀の動きを止めて明美は注意を飛ばした。 「身体から先にいく。手先でリボンを動かしてはダメ」 体育館の気温は30度を越えているだろう。暑さでクラクラしそうだ。教える明美も汗だらけだ。 「ちょっと、休んでいいわよ」 「はい」 今日は明美はいつものジャージ姿ではなくレオタード・・それも肩がヒモになっているクリーム色の「キャミソール」のレオタードにスパッツ姿だった。 「あのう、先輩」 「何」 タオルで顔を拭きながら明美は言った。 「昨日渡されたショーツなんですけれど」 「どうだった。サイズフリーだから平気だったでしょう」 「ちょ・・ちょっと、恥ずかしいのですが」 亜紀は口ごもった。 「なにを恥ずかしがっているのよ。あれ、試合用レオタードの中に着けるのよ」 「でも・・・」 「別に外にだすわけじゃないのよ」 あきれたと言った口ぶりだった。 「だいたい、あなた、アンダーのことを気にするより他に気にすることあるんじゃない」 「はい」 明美は不正確になってゆく亜紀の演技を不安に感じているのだ。 「真剣なら裸でレオタード着けるくらいの気迫があるはずよ」 「はい!!」 亜紀は明美の気迫に押された形になった。たしかに今は選手の亜紀より明美の方が気合が入っていた。 「それより、今日は私がルーティンのお手本を見せてあげるから、よく見て、動きの参考にしなさい」 明美はスパッツを脱ぎ、レオタードになってハーフシューズをつけた。均整の取れたスポーティな身体だ。さすがに日頃から鍛えている女子体育大生の肉体だった。 亜紀は、明美が現役時代によく更衣室で着替えているのを目撃したが乳房が丸く乳首がツンと上を向いているのが「カッコイイな」と思っていた。 「あなたの不得意なリボンの演技をやるわ。よく見ていなさい」 明美は体育館の中央に進み出た。 「いくわよ」 明美は重点的にリボンの演技をした。 年齢が1つ違うだけで、同じ演技をしても明美は「女の色香」が漂う。リボンが生き物のように明美の身体の周りを動き、時には離れ、時には近づく。踊るような美しい動きだった。 自分の目の前にリボンをきれいにまとめて明美が演技を終えた。 「わかった。必ず身体から先に行くようにね」 「はい!!」 先輩のコーチが文字通り身体で教えてくれている。再び、亜紀は練習を始めた。 亜紀はもう、3時間以上練習を続けていた。仲間たちは帰ってしまい、外は真っ暗闇になっていた。明美は熱心に指導していた。 「ちょっと、休みなさい」 明美は言った。 「はあ・・はあ・・はあ・・はあ・・」 亜紀は顔を伏せて肩で息をした。 「はあ・・はあ・・はあ」 亜紀の視界に明美の脚が入った。ハーフシューズを脱いでいた。亜紀が顔を上げるとそこには明美が立っていた。 「あっ!!」 明美の身体には着けていたはずのレオタードはない。あるのは昨日、亜紀が脱衣所で試したと同様、乳首に貼った丸い絆創膏・・あのニップレスと、股間を隠すだけの小さな布のアンダーだけだった。 「あなた、恥ずかしいって言ったわよね。私は自分の身体を晒すことを恥ずかしいとは思わないわ」 堂々としていた。 明美は亜紀に背を向け、鏡と相対した。後ろ姿はほとんど全裸と言ってよかった。腰にT字に細いベージュのヒモが走っているだけだ。 「よく見なさい」 そう言うと、スッと明美は右脚を上げた。Y字バランスだった。 レオタードを着けてやればどうということはないポーズだが、申し訳程度の前布だけ、しかも後ろから見れば尻にヒモがT字に通っているだけの「ほとんど裸」で出来るポーズではない。 脚が身体の脇にピタリとついている。素晴らしい柔軟性だった。 「よく、筋肉の動きを見て。どこの筋肉を使っているか、どこが動いているか、わかるでしょう」 明美の背中と腰が美しい。それらの筋肉が十分に機能している。 「今度は側転をしてみせるから。脚をよく見て・・」 明美は言った。 亜紀は明美の動きに注目した。明美は反動をつけずにゆっくり側転した。腹部の筋肉と太股の内側の筋肉が緊張する。 「はっ」 明美は元に戻った。形がよく丸い乳房がプルンと揺れている。 「せ・・先輩」 「何」 「私、間違っていました。先輩がこんな真剣に私のことを思って教えてくれるなんて・・・」 亜紀は涙声になっていた。 「わかってくれればいいのよ」 「はい」 「特別に私がインターハイで優勝した時のクラブのルーティンを見せてあげるわ。レオタードもまったく同じでね。参考にするといいわ」 明美は一旦更衣室に入って、かつてインターハイで優勝した時使用したレオタードに着替えて出てきた。亜紀は昨年、インターハイで見て以来だった。腰の部分は黒く、斜めの切り返しで白が入る。わずかだがハイレグだ。 「いくよ」 ラジカセの音楽にのってクラブが自在に操られているのがわかる。明美の動きはダイナミックだった。高く上がるクラブは見事だ。 5分間、息もまったくつかいないような一気に動く演技だった。さすがにインターハイを制したルーティンだった。 「はあ・・はあ・・はあ」 明美の息が荒い。そのうち、よろめいて、マットに大の字になった。 「先輩」 亜紀に明美の気迫だけは十分に伝わった。 「亜紀、私の秘密、見せてあげるね」 そういうと明美は立ち上がっていきなり、そのちょっと素材が薄いレオタードを脱いだ。 「あっ」 亜紀は驚いた。明美はレオタードの下に何も着けていなかった。ノーパンノーブラ・・・、明美は一糸まとわないスッ裸にレオタード一枚だけで演技をしていたのだ。 全裸の明美を前にして亜紀は驚嘆以外の言葉が出なかった。 「インターハイの時、もう、勝ちたくて勝ちたくてできることは何でもやったのよ」 「先輩」 「だからサポーター・・脱いじゃったのよ」 |
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昨年の高校新体操全国大会会場の更衣室 明美は4種目終わって2位につけていた。クラブが明美の最後の演技だった。1位につけている選手は調子がよく、ミスする雰囲気ではまったくなかった。また、3位の選手も僅かな得点差で明美に迫っていた。少しでも気を抜けば、明美は3位に転落することもわかっていた。 選手たちはレオタードを替えて更衣室から競技会場へ出てゆき、明美だけが一人、更衣室に残された。明美は平静さを装っていたが、心の中はパニック寸前だった。 「勝ちたい」「ミスしたくない」・・・。 「勝ちたい」「ミスしたくない」・・・。 2つの言葉が交互に明美を襲っている。 「勝ちたい」「ミスしたくない」 2つの言葉だけを繰り返しながら、夢遊病者のように最後のクラブ用の黒と白のレオタードをバッグから取り出し、前の輪の演技で使ったレオタードを脱いだ。 ふと、目の前を見ると鏡の中に緊張し切った、ニップレスとアンダーだけの自分の姿があった。明美はふらりと立ち上がって、そのニップレスとアンダーだけの自分の姿と対峙した。 「こんなの着けていて、勝てると思っているの!!」 「勝ちたいんでしょう」 「ミスしたくないんでしょう」 そう思った瞬間、明美は自分の手でニップレスをはがし、穿いていたフンドシ状のサポーターを取った。サポーターは明美の足元で丸まり、小さな繊維の固まりになった。 鏡にはスッ裸になった女子高校生の新体操選手が映っていた。17歳の生命力溢れる身体だった。 「勝ちたいんでしょう」 「ミスしたくないんでしょう」 明美はその声に突き動かされるままに、クラブ用の黒と白のレオタードで全裸の身体を覆った。そして、ジャージの上だけを羽織り、愛用のクラブ2本を持ち更衣室を出ていった。 恥ずかしかったのは更衣室から会場までの通路だけだった。「わあ」という歓声がこだまする競技会場に足を踏み入れたとたん、羞恥心は消し飛んだ。 「勝つ」「ミスしない」 「勝つ」「ミスしない」 「勝つ!!」「ミスしない!!」 今度はその言葉が頭の中で繰り返された。 明美は気がついた時には、表彰台の一番上に立っていた。いつもならジャージを着けるのに、この日に限ってレオタードだけだった。 表彰台を降りると新聞記者やテレビカメラが待っていた。 「素晴らしい逆転優勝でしたね。ご感想は」 「最後のクラブの演技、気合い入っていましたね。練習はどのくらいされて演技に臨まれました」 質問と共にカメラのフラッシュが焚かれ、テレビのライトが明美を照らし出した。明美は質問に答えながらレオタードを直した。 ふと、レオタードの中にある乳房を見ると、そこには興奮して立ち上がっている乳首があった。 「ああっ!!」 明美は心の中で叫んだ。そして右手をレオタードの下腹部にやった。そこにはいつも穿いているアンダーはなかった。明美はレオタードの下がすぐに全裸の自分の身体だということを自覚した。 恥毛は剃っているから外に見えるはずはないが、その分、谷間がレオタードの生地に浮き出しているかもしれない。そうなるとたまらなく恥ずかしさがわき上がってきた。自分は全裸で演技したような錯覚に陥った。 「あ・・あのう・・すみません」 囲んでいた報道陣を振り切るように明美は更衣室へ駆け出した。 |
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高校新体操全国大会 亜紀は3種目終わって2位に立っていた。1位の選手をクラブとリボンで上回れば、優勝となる。相手選手の調子はいいようだ。自分からミスする雰囲気ではなかった。 亜紀はレオタードを変えるために更衣室にいた。 「勝つ!!」「ミスしない!!」「絶対、ミスしない!!」 亜紀はその言葉を何回も何回も繰り返した。そして立ち上がり更衣室にある鏡の前に立った。 亜紀は、それまで穿いていたレオタードを脱いだ。『プチッティ』にニップレスだった。 「勝つ!!」「ミスしない!!」「絶対、ミスしない!!」 その言葉が頭の中に響いた瞬間、亜紀はあれほど恥ずかしがっていたヒモパンすらあっさり脱ぎ、ニップレスも取った。迷わずに17歳の全裸の身体に競技用のレオタードをつけた。 更衣室には演技を終わった他校の選手たちがいた。 「あっ、あの娘、スゴイ」 「気合い入っている」 ショーツまでを脱いでレオタードをつけた亜紀を見て囁き会った。しかし、亜紀にはその言葉は聞こえない。 「勝つ!!」「ミスしない!!」「絶対、ミスしない!!」 その言葉だけを頭の中で繰り返しながら更衣室を出ていった。 |