肌色人魚


第1章、招待選手

 7月、梅雨も明け、夏空がのぞく。

 東京郊外にある私立武蔵ヶ丘高校の屋外プールでは恒例となっている『校内水泳大会』が行われていた。各クラスが男女別で個人戦やリレーを行い勝ち点を争う形式だ。
 競技が一段落した時だった。アナウンスが入った。 「では、本日の大会の招待選手を紹介します。五輪、世界大会400メートル自由形女子日本代表で、本校2年4組の鹿児島瞳選手です」
場内からは「おおっ」という声が上がった。一人のガウンを着た黒く長い髪の少女・・、鹿児島瞳がプールサイド中央に歩み出た。
 瞳は私立武蔵ヶ丘高校が生んだ"ヒロイン"だった。中学生で世界選手権に出場して、いきなり金メダル。さらに高校に進学してからは、どの国際大会でも上位に食い込んでいる水泳選手なのだ。"水泳ニッポンの浮上をかけた新星"である。
 本来なら、今日の『校内水泳大会』にも2年4組のクラス代表選手として出場してもいいわけだが、五輪選手と一般の生徒では勝負の結果は明らかだ。そこで"招待選手"として競技の合間に模範的な泳ぎを披露してもらおうということになった。

 瞳はガウンを脱いだ。「おおっ」という声がまた起こった。
 瞳は普通の私立武蔵ヶ丘高校の女生徒とは違っていた。水泳で鍛え抜いた男子に近い逆三角の筋肉質の肉体、それに付く乳房はかなり目立つ大きさでDカップはあるだろう。「泳ぐビーナス」のあだ名もあるくらいだった。そして、競泳用水着。瞳が着けている水着は薄いブルーのスジが入ったもので背中は大胆なクロスのカットになっている。身体にフィットする超薄型、さらに極限までのハイレグカット。一般の女子高校生が着けるには、少し躊躇する水着だった。
「スゴイ、あの水着。ほとんど裸じゃないの」
「この前の世界大会で使った水着らしいよ」
「私たちじゃあ、絶対に着られないわ」
女子生徒たちがささやきあった。
 五輪の時にはあらゆるメディアが瞳の写真を掲載した。ある雑誌は"日本水泳史上、最も美しく強い人魚"というタイトルを瞳に冠した。

 瞳は水をすくい水着の前面に付けると、長い髪をまとめてキャップの中に押し込みゴーグルを着けるとスタート台に立った。それを見計らってスターターが「よーい」と声をかける。
 「バン」という音と共に、ビーナスの身体を持つ美しい競泳選手は力強く空中を舞い、水の中へ滑り込んだ。

 瞳の泳ぎはすばらしいの一言に尽きた。いままでの他の生徒たちの泳ぎはまったく違う。
「すげえ」
男子たちからも声が出た。
 瞳はあっという間に400メートルを泳ぎ切った。瞳はキャップとゴーグルを取りスタート台の下からプールを上がった。小さな水着は瞳のやや大きめ尻に食い込んだため、瞳は上がったあとに直した。
「2年4組の鹿児島瞳選手でした」
会場から大きな拍手が上がった。瞳はそれに応えるように手を振った。
 この光景を赤いフィルターが付いた望遠レンズ付きのカメラとビデオ数台が記録していたことを、瞳も、そして学校も知らかった。




第2章、盗撮写真

 翌日、私立武蔵ヶ丘高校2年4組の教室。

「おい、これいくらだよ」
「写真で2000円、ビデオで6000円」
「高すぎるぞ」
「写真は6枚セットだからな。こっちだって危険を犯して撮っているんだぜ」
教室の後ろの一角で""が立っていた。5〜6人の男生徒が一つの机に置かれた数枚の写真を見ていた。
「あっ、来たぞ。やべっ」

 鹿児島瞳と何人かの仲間が教室に入ってきた。それを見て同時にその人だかりがさっと解散した。
「あんたたち何やってのよ」
その声を出したのは瞳と一緒に教室に入ってきた島村美希だった。自分たちの方を見ての急な動きに、なにか自分たちに関係ある事だと直感したのだ。
 美希は瞳と同じ『スカイ・ドルフィン・スイミングクラブ』に属する選手だった。瞳のライバルであり親友でもあった。種目も同じ400メートル自由形だった。しかし、五輪代表までなった瞳に比べ、記録は低迷している。辛うじて国体に出られる程度の記録しか出ていなかった。
 人だかりの中心にいたのは宮川だった。宮川は写真部員だ。
「宮川くん、何、隠したのよ」
宮川が写真を隠したのを見ていたのだ。
 美希だけでなく、瞳も含めた女生徒5人が宮川の机を囲んだ。美希は勝ち気なことで知られていた。
「これよ」
美希は机の下に隠した宮川の手を机の上に引っぱり出した。その勢いで手がにぎっていた写真数枚が床に散らばった。女生徒の一人がその写真を見て悲鳴を上げた。
「きゃあ、何これ!! ひ・・瞳の裸の写真よ!!」
瞳はびっくりして写真を取り上げた。写真は確かに瞳だった。
 昨日の水泳大会の写真だが、赤外線を使ったのか、競泳用水着が完全に透けていた。自分の豊かな乳房の上にある乳首が乳輪と共にはっきり写っている。さらに恥毛を剃り上げた股間のスジまで見えている。ショックだったのは2枚目に取り上げた写真だった。泳ぎ終わってプールから出る瞬間を撮影した後ろ姿ものだったが、開いた股間から女の深い谷間が見えている。赤外線ではない普通の写真もあったが、これも水で透けて乳首が写っていた。
「いやだ〜あ、もう!!」
他の女生徒たちが悲鳴を上げる。しかし、瞳は自分の水着丸透け写真を見たまま何も言えなかった。
 競泳用水着が透けるという話を聞いていたし、それを写真に撮られてHな投稿雑誌に掲載されたなどという話があるのは知っていた。しかし、身近で、それもクラスメートの男の子に盗み撮りされたことはショックだった。
「あんた、タダじゃあ済まさないからね。先生に言うからね。こんなことして!!」
美希は宮川の耳を引っ張りながら言った。
「言うなら言えよ」
宮川は居直った。
「五輪選手か何か知らないけど、まっ裸同然のスケスケハイレグ水着を着けて泳げば、男はみんな見たくなるんだよ。そんなに記録を出したいのならまっ裸で泳げよ」
「な・・なんてこと言うのよ!!」
美希は宮川の頭を思いきり平手で殴った。

 美希が担任の教師に連絡したことから、担任の教師が宮川からネガと写真を取り上げ、教師の命令で宮川自身によって学校のシュレッダーでバラバラにされた。さらにビデオテープもハサミで切られた。
 "盗撮事件"は、決着がついたが、瞳の心の中には宮川の言葉が残った。
「まっ裸同然のスケスケハイレグ水着を着けて泳げば、男はみんな見たくなるんだ」
世の中の男すべてが宮川と同じ気持ちを抱いているかもしれないという気分になっていた。




第3章、スクール水着

「あれ、瞳は?」
『スカイ・ドルフィン・スイミングクラブ』のコーチ、橋本靖子が美希に聞いた。
「今日はお休みするそうです」
美希が答えた。
「めずらしいわね。瞳が病気かなにか」
「いいえ、実は・・・」
美希は学校であった"盗撮事件"を靖子に話した。
「そう、そんなことがあったの」
「五輪まで行きながら、そんな被害にあったことがなかったからだと思いますが・・」
と美希。
「実は五輪前に瞳が知らないところで盗撮があってね。水泳協会の理事が出版社に怒鳴り込んだこともあったのよ。もちろん、瞳には一言もいわなかったけど・・」
靖子は言った。
 美少女・・それも見事なまでのプロポーションを持つ美少女の水着写真なら誰でも見たいのは事実だった。
「カマトトなんです。そのくらいのことでショックを受ける瞳は」
美希はどうしょうもないという意味で"カマトト"という死語に近い言葉を使った。
「そうね」
「17歳になるのにボーイフレンドの一人もいないんだから・・・」
学校外や水泳関係にも多く男友達がいる美希と違って、水泳で純粋培養された瞳は心も身体も""を知らなかった。
「こればかりは本人次第だから・・」
靖子はそこまで言って、後は言葉を濁した。恋愛などに熱中されても、また困ると思ったからだ。

 翌日、クラブには瞳の姿があった。靖子は瞳が更衣室に入るのを見た。
「なんだ、心配することはなかったかな」
靖子はそう思った。しかし、更衣室から出た瞳の姿を見て靖子は腰を抜かさんばかりに驚いた。瞳は中学生が着けるような紺色のスクール水着を着けていたのだ。
「あ・・あなた」
「コーチ、少しの間、この水着で練習したいんですが」
瞳の心の中を靖子は理解した。盗み撮りされて競泳水着を着けるのが恐くなったのだ。しかし、そのスクール水着は異常な小ささだった。後からわかったことだが、瞳が小学生の妹から借りてきたものだった。
「いいわよ。少し水の抵抗が大きいかもしれないけど・・・」
「はい」
スクール水着のレッスンは許されたが瞳の表情は晴れなかった。

 瞳の属するコースは『特別練習コース』・・通称、特練コースは練習生として中学、高校の女子ばかり8人が毎日練習していた。スカイ・ドルフィン・スイミングクラブの方針として女子を選手育成の中心とし、男子は同じ資本系列のクラブに紹介していた。従って、クラブの中は女子だけ・・特に夕方からの特練コースは男子禁制といってよかった。それにもかかわらず瞳はスクール水着だった。
 よほど、盗み撮りがショックだったのだろう。美希も瞳のスクール水着姿に驚いたが、「そのうち、直るだろう」と思って、何もいわなかった。しかし、翌日も、そしてそのまた翌日も瞳はスクール水着だった。

 瞳は競泳用水着どころか、分厚いスクール水着を着けたうえにブルーの薄いTバック型のサポーターまで穿いていた。おまけに脱いだスクール水着の裏地には、乳房を隠すパッドまで縫いつけてあった。
 更衣室で瞳はコソコソと水着を脱いでいた。しっかりとパットを縫いつけた水着を取ると上向きの乳首を持つ17歳の乳房が「プルルン」と音をたてたようにあらわになった。過去に一度、美希はいたずらで瞳の豊かな胸を揉んだことがある。ちょっと芯があったがとても柔らかかった。
「男の人、大喜びするよね」
と美希は瞳に言った。
「いやだあ」
瞳はまんざらでもなさそうだった。しかし、その立派な乳房もなんとなく下を向いて見えるのは気のせいかと美希は思った。
 アンダーショーツは水色のTバックだった。
 普通、競泳選手は水着の下にサポーターを穿かない・・というより穿けない。競泳用水着は脚を自由に動かすために目一杯ハイレグにカットしてある。そのままサポーターを穿いたら、確実にサポーターがはみだす。そのためにノーサポなのだ。
 もちろん恥毛は邪魔になるので、剃っている。瞳と美希はよく更衣室でお互いの恥毛を剃っていた。瞳と美希はクラブの更衣室で一人がイスに座り、もう一人がはさみでおおむね恥毛を"刈り取り"、エチケット用剃刀で丁寧に剃り上げる。剃りながら、こんなことを話したことがあった。
「身体の毛を全部剃り上げるとコンマ何秒か早くなるらしいよ」  "肝心な部分":なので慎重にカミソリを動かしながら瞳は言った。
「本当?」
美希は答えた。
「ほらアメリカの男子の水泳選手がスキンヘッドにしていたじゃない。五輪のプールで見かけたよ」
「こんど、やろうか」
美希は冗談のつもりで言った。
「やろう、やろう。男がいないクラブのプールで全裸でタイムトライアルしようよ。本当の自分のタイムがわかるじゃん」
瞳はいたずらっぽく言った。

 スクール水着を脱ぐ瞳に、美希はそのことを思い出した、




第4章、全裸競泳

 瞳の「スクール水着トレーニング」は続き、半月もたってしまった。
「もう、競泳用水着に戻ったら」
何回か美希は瞳にアドバイスした。しかし、瞳はそのたびに「そのうちに」と言葉を濁していた。
 瞳の400メートル自由形のベストタイムは4分10秒90台だった。しかし、どんどんスピードが落ちてゆき、コーチの靖子の指導にもかかわらず、今は4分11秒後半、場合によっては4分12秒台の時もあった。いまや中学生なみの記録だ。水着の問題で気迫が欠けているせいだと美希は思った。競技会シーズンもすぐ目の前に控えている。

 ある日、美希は決心して少し遅れてプールにやってきた。瞳は相変わらずスクール水着でトレーニングをこなしている。コーチの靖子は出張で、各自に練習メニューを指示して出かけていた。
「美希、今日は遅いのね」
練習開始時間を大幅に遅れてプールにやってきた水着姿の美希に、タイムを取るためにプールから上がっていた練習生の一人、英子が声をかけた。美希は英子の言葉は耳に入らないのか、応えずにスクール水着で練習している瞳を見つめていた。
 次の瞬間、美希はそれまで着けていた自分の水着に手をかけた。競泳用水着が足元に落ちた。
「な・・なにするの。美希!!」
英子は悲鳴を上げた。美希は一糸まとわぬスッ裸になった。美希も瞳と同様、逆三角の水泳で鍛えた肉体だった。瞳よりやや小柄な分、乳房が大きく見える。股間に毛はなかった。
 美希は全裸のまま、プールの中にいる瞳に向かって怒鳴った。
「そこのスクール水着の弱虫娘。競泳用水着を盗み撮りされたくらいで何よ。あんた、それでも水泳やる気あるの!!」
一糸まとわない美希は腰に手をやり少し脚を開いて瞳を挑発した。
「私なんかビキニだろうが、スケスケハイレグ水着だろうが、スッ裸だろうがどんな格好で男の前で競泳しても平気よ」
他の6人も練習をやめて、全裸になった美希を見ている。
「記録を出すことがすべてだもの。あんたが五輪代表になったのもただラッキーなだけよ。この場でどっちが早いか決着つけようじゃないの」
瞳は泳ぎを止めて美希を見ている。
「や・・やめなよ、美希」
英子が美希に言った。
「美希、言ったわね」
『ラッキーなだけで五輪選手になった』という言葉に瞳はカチンと来たようだ。瞳の練習量はハンパではなかった。1日の大半、1年365日を水の中で過ごしたのだ。その努力を誰にも汚されたくなかった。
 瞳はプールを上がった。目は怒りに燃えている。
「瞳、やめなさいよ」
英子は止めたが、瞳には闘志にひるんだ様子はない。 「フーン、頭にくることだけは"イッチョまえ"のようね。もちろん、私と同じ条件で勝負してくれるわね」
美希は言った。
「いいわよ。裸で泳げばいいんでしょう」
瞳は言った。
「競泳用水着ですらビビっている人にできるかしら」
美希はさらに挑発した。
「英子、タイムを取る用意して」
美希は冷静に言った。
 クラブのプールはコンピューターを使って、選手が飛び込んでからスタート台下の「タッチ板」にタッチするまでの時間を自動的に計ることができる。二人の勝負が本気ということがわかった英子は2人に言った。
「本当にやるの」
二人は互いを見ながらうなずいた。英子は計測の準備にかかった。
 美希の挑発に怒っているとはいえ、瞳は全裸になることに躊躇があった。盗み撮り事件のショックはまだ、残っていた。
「ふふん、勢いで上がったのはいいけど、結局、その水着でしか泳げないんでしょう」
美希は言った。
「べ・・べつに」
瞳は迷いながらも自分のスクール水着のストラップに手をかけた。そして、水着を脱いだ。瞳もむき身の身体を晒した。幅広い肩についた豊かな胸がプリンのように震える。 「あら、まだサポーターが残っているわよ」
美希が言った。薄い水色のTバックのサポーターがまだ、瞳の下腹部を覆っている。透けて見えるその股間には恥毛はなく、ピンクの谷間がのぞいている。
「脱げないの」
美希はさらに言った。瞳には、今、サポーターを脱ぐのはパンティを脱ぐと同じだった。
「別にその薄々のサポーターのままでもいいわよ。結局、あんた負けるんだから・・」
「やってやるわよ」
瞳は言った。そして、最後の一枚であるサポーターの脇ヒモに手をかけ一気に引き下ろした。脱いだ時、ピンクの谷間から、いとおしそうに一滴だけ雫が落ちた。
 五輪水泳選手がその鍛えた女の身体をすべて晒した。女子高校生水泳選手のむき身の身体だった。二人の美少女が何も身につけない全裸になった。
「これで、やっと条件は一緒ね」
美希はそう言った。

「じゃあ、行くわよ」
美希はスタート台まで行った。そして、脚をじっくり伸ばし始めた。試合前と同じようにストレッチしている。
 美希は柔らかいことで有名だった。ほとんど、体操選手のような柔軟性があった。左右開脚をするとぴったりと脚と尻が床に着いた。
「どう」
美希は瞳を挑発するように言った。
「私だって」
瞳はそのまま、前後開脚してみせた。
 美少女2人が全裸で柔軟性を競っていた。もし、男が見ていたら卒倒しそうなシーンだった。
「ではいくよ。英子お願い」
二人はスイミングキャップだけを着け、スタート台に立った。
「用意!!」
英子がスターターになった。パンという音と同時に二人の肌色の身体が空中に飛びだし、そして水の中にもぐり込んだ。
 二人の泳ぎはリズミカルだった。ダンスを踊る様なリズムがあった。ターンもほとんど無駄がない。上から覗いた特練コースの生徒が驚くくらい無駄がなかった。二人ともターンの時に秘部が一瞬見えた。
「す・・すごい、早い」
「ほんと、記録出ちゃうかも」
コ−スの練習生たちが口々に言う。二人はあっという間に最後の50メートルに入った。瞳の方が腕の長さ・・いや、手の長さ程度リードを取った。
「おりゃ」
気合をかけたのは美希の方だった。追いかけられている瞳もスパートをかけた。瞳は最後は目をつぶってタッチ板に触った。
 二人は、「凄い・・」「信じられない!!」という声だけを聞いた。一旦潜って瞳が顔を出しプールサイドの記録掲示板をみると「4分10秒57」と出ている。軽く日本記録を突破している。世界記録にも手が届く記録だった。美希の方も「62」。こちらも日本記録を上回った。
「ああっ・・はあ・・はあ・・はあ・・はあ」
真剣勝負を終えた瞳は最後の力を振り絞ってプールから上がり、その場で仰向けになった。脱力して、大の字になっている。豊かな胸の先にある乳首は信じられないくらい勃起していた。
「やれるじゃん・・瞳・・はあ・・はあ」
横で美希の声がした。美希も同じようにプールから上がって四つん這いになっていた。美希は豊かな乳房が下向きになっていたが、やはり、乳首が堅くなっていた。二人とも濡れた身体から水滴がプールサイドのコンクリートの滴り落ちている。
「スッ裸かもしれないけど世界記録並の速さがあるんだから、競泳水着なんて恥ずかしがることないじゃん」
最後に一言言って、美希も仰向けになった。
 美希の本当の狙いを瞳は初めて理解した。二人の『肌色人魚』が微笑み合っていた。




最終章、復活

 全日本水泳選手権。テレビ中継のスタッフが走り回っている。

「鹿児島瞳が日本記録更新だ」
カメラのスタッフにディレクターが指示を出した。
「・・ということでよろしく。あっ、それと鹿児島瞳の場合はなるべく胸から上を写すように」
「了解」
チーフカメラマンが言った。
「なぜです」
カメラアシスタントがチーフカメラマンに聞いた。
「鹿児島瞳の水着、丸透けなんだよ」
「えっ、そうなんですか」
「なんでも某M社カスタムメイドの最新型ハイテク水着だそうだがな。股間の筋まで見えてるやつだ。国営放送のわが社では到底、写せないからな。注意しろよ」
「はい」
「おっと・・水からあがってくるぞ」
カメラマンがテレビカメラを担いで、水から上がってくる瞳に所に駆けつけた。
 水から上がった瞳の紺色の水着は見事なまでに水を弾いていた。しかし、その水着はほとんどストッキングといってよいほどの薄さだった。水に濡れて透けているのではない。薄いために初めから透けているのだ。乳首が勃起しているのがはっきりわかる。乳輪の形も同じだった。
 瞳はタオルを取って身体を拭いた。タオルですこし乳房が押されて形を変えた。そこまで映像を映し出して、カメラは移動しプールへの入口に行った。そこでインタビューを撮るためだ。
「はい、来ました」
インタビュアーの女性アナウンサーがマイクを瞳に差し出した。
「鹿児島選手、日本新記録おめでとうございます。今日のレースは凄まじいものでしたね」
「はい・・・」
 瞳はジャージも着けず、水着のままインタビューを受けていた。カメラアシスタントは照明を瞳に当てながら、ツンと勃って水着を押し上げている瞳の乳首を眺めながら思った。
「この水着、本当に丸透けじゃねえか」

 瞳はM社の担当者が持ってきた水着の裏地と股布をはずしてくれるよう頼んだ。
「透けて見えてしまいますよ」
担当者が言った。
「タイムが上がるんでしょう」
「そうですが・・」
「それなら取ってください」
瞳は自ら裏地を取るように指示していた。恥ずかしさよりもタイムを出すことの快感の方が勝っていたのだ。さらに全力で泳げば乳首が勃起することもわかっていた。それを晒してもいいと思ったのだ。瞳はそれほどタイムと勝負にこだわる女になっていた。
 予選からその姿で競技に臨んでいたことからカメラマンが殺到し連盟はメディア取材を制限する事態となっていた。

瞳は更衣室へ戻った。
「おめでとう、瞳」
美希が待っていた。
 この日、美希も調子はよかったものの準決勝で有力選手との勝負に負けてB決勝に回った。しかし、そのB決勝を好タイムで優勝していた。
「美希もよかったじゃないの。タイムなら4位だよ」
「それよりもその水着早く脱ぎなよ。鏡、見てみなよ。透けてるよ」
長い髪をタオルで拭きながら瞳は鏡を見た。
 ストッキングのような水着の中には自分の乳首、へそ、そして生殖器が見えていた。
「だから、どうしたの」
瞳はそう言いながら、水着のストラップに手をかけた。2サイズも小さくきつい水着のストラップをはずして上半身からその競泳水着を脱いだ。ぷるんと形がよく大きい17歳の乳房が解放されて姿を表した。
「ああっ、解放されたって感じ」
瞳は全部、脱いで全裸になった。
「タイム出すって、こんな気持ちのいいことないわ」
瞳はそのままの姿で微笑んだ。
「ねえ、もう一度『肌色人魚』やろうよ。今度は世界記録を出してみせるわよ」
完全復活を果たした瞳のその言葉に、美希は親友として安心していた。

(おわり)

(参考:98年10月現在の日本記録は、千葉すず選手の持つ4分10秒67です。)
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